特任講師観察記断章
特任講師観察記断章。今期の最後はリズムとピッチを重点課題とする音読を実験してみた。学生がどう感じているかはともかく、結果だけ聞くと、なかなか悪くない出来だった。ただ、これは、1学期かけて蓄積してきたことのまとめとしてやったから――〈区切って読…
20240713 平野富山展@静岡市美術館 正直に言えば「誰?」と思いながら足を運んだ。「平櫛󠄁田中と歩んだ彩色木彫、追求の軌跡」という副題も個人的には役に立たない。「彩色木彫」という言葉と、キービジュアルとして使われている能面をかぶった人形で、これ…
特任講師観察記断章。わたしたちはどこで歴史意識を身につけるのだろうか。そのために必要な歴史知識をどこから仕入れるのだろうか。 そんなことを考えてしまうのは、学生たちの現代世界にたいする関心の薄さが、歴史知識=意識の乏しさと表裏一体であるよう…
特任講師観察記断章。多くの学生が多用するのにもかかわらず、ニュアンス的にピタリとハマった感じで使えていないものの筆頭に来るのは副詞だ。日本語を直訳するからだろうか、動詞プラス副詞を好んで使うわけだけれど、往々にしてピントがずれている。しか…
特任講師観察記断章。グループワークをやらせてみるものの、「分担作業」になってしまっているきらいがある。 作業を分担するのはかまわない。しかし、分担する前に、1)どのように作るのかの方針をグループとしてまとめ、2)そのうえで個々に作業し、3)…
特任講師観察記断章。語学力が拙いからといって、そこで表現される思考までもが拙くてよいのだろうか。 よいはずがない。しかしながら、どうもそのような考えがまかりとおっているように感じられる。語学力の拙さが、思考力の拙さの口実として機能しているよ…
特任講師観察記断章。「腹話術的報告」とでも名付けてみようかと思う。グループディスカッションをした後、何を話し合ったかクラス全体に報告してもらうさい、こちらが「ちょっと待って、それはどういうこと?」と口を挟むと——といっても、話に無理やり割り…
特任講師観察記断章。ある外国語を学ぶ理由はその言葉を話す人間と喧嘩するためであるとまで好戦的に言い切った東京大学第26代総長の蓮實重彦よりは、ある外国語を学ぶ理由はその言葉で書かれた詩を読むためですと語るガヤトリ・スピヴァクに味方するけれ…
特任講師観察記断章。密談をやめさせたい。学部、学年、学力を問わず目にするのが、グループで話し合わせた後、その結果をクラス全体に報告させる際、グループの発言担当者がまごつくと、他のグループメンバーが腹話術師さながらに言うべきことを耳に吹き込…
特任講師観察記断章。日本語というのはつくづく「誰が」という部分を置き去りにする言語ではないのかという疑いが深まりつつある。 中間試験の一部として、これまでに学生たちが書いた問題含みのセンテンスを出し、それをどう修正すべきか指摘せよという問題…
特任講師観察記断章。「大学がいまではもうエンターテイメントの場になっているのではないか」。非常勤で英語を教えている方が雑談のなかでふと口にした言葉が、ひどく腑に落ちた。 大学のテーマパーク化は1990年代ぐらいから(それとも1980年代から?)言わ…
特任講師観察記断章。For example, onions, carrots, and potatoes. のようなセンテンスといえないものにこれまで何度遭遇したことだろうか。というよりも、なぜこれが中高の英語で直されていないのか、不思議でならない。さらに不思議なのは、だいたいこの…
特任講師観察記断章。このところ手書きの記述式試験を課していることもあって、学生の肉筆を見る機会に恵まれているけれど、それを見るにつけても、もはや性別と筆跡の相関関係は消滅したのではないかという気がしてくる。高校時代がちょうどポケベルの時代…
特任講師観察記断章。声の小ささ。Covidの余波と言っていいのかわからないけれど、発言するときの声のボリュームが明らかに落ちた。滑舌が悪いとか、ボソボソ喋るというのではなく、声のベクトルがない。どこに自分の声を飛ばしているのかという意識が不在。…
特任講師観察記断章。もはや学生にこちらの話をマルチタスクではなく聞くことを求めるのが無理なのかもしれない。というよりも、今の世代がシングルタスクでやっていることは、どれだけあるのだろうかと問うべきかもしれない。 もちろん、ながら聞きは昔から…
特任講師観察記断章。ChatGPTが凄いという話をNew York TimesやVoxのポッドキャストで聞いて、今日、学生の前で実演してみせたのだけれど、想像の何倍も凄かった。 簡単な指令を出すだけで、平均点のエッセイを即座に生成してくれる。 AIがここまできた以上…
特任講師観察記。本務校の採点業務は9割は片付いた。追試対応をしなければならない学生がまだいるけれど、大筋では終わったといっていい。しかし、採点をやるほどに、何のための採点なのかという気がしてくる。 評価は必要だ。いや、評価というよりも、批評…
特任講師観察記断章。漢文の素読はとても意味のあることだったのではないか。読み下し文には独特のリズムがあり、定型的な表現がある。韻文とまではいわないが、散文というにはあまりにも定式化されたリズムとメロディがある。だから、暗誦するところまでや…
特任講師観察記断章。暗誦を課題として与えたことはない。無理やり暗記させても、思い出しながら言うので精一杯になってしまって、ほかにケアすべきことがなおざりになってしまいそうな気がするからだ。しかし、今日、音読試験をしたあと、試験範囲になって…
特任講師観察記断章。還元的に言えば、リズムは個々の音のあいだの長短の関係(時間)、ノリは個々の音のあいだの強弱の関係(質量)、イントネーションは個々の音のあいだの高低の関係(ピッチ)。そして、英語において個々の音のコアをかたちづくるのが音…
特任講師観察記断章。今学期は最初からグループワークを意識的に導入してみている。きちんと理解してもらうには、こちらから解説するだけでは足りないし、問題を何度も解くだけでも不充分だ。自分で説明できるようにならなければならない。さらに言えば、口…
特任講師観察記断章。ノンネイティヴが英語でうまくプレゼンテーションをやるためには、「いわゆる英語らしさ」を目指すのはナンセンスだ、そうではなく、ゆっくり、丁寧に、ポイントになるところを前面に出すようにやらなければならない、そのためにこそ、…
特任講師観察記断章。学生たちが時折イノセントに使う「外国人 foreigner」という言葉が気になって仕方ない。記述のために使っているのであって、否定的含意を持ちうる用語として使っているのでないのはわかる。しかし、foreignと名指した時点で、そこに、あ…
特任講師観察記断章。徒手空拳で進めてきた「強勢、抑揚、発音」の授業2コマをどうにか完走した。来週の期末試験の課題文章を探さなければいけないし、期末試験課題を採点して最終成績を出すという大仕事も残ってはいるけれど、そちらはエピローグのようなも…
特任講師観察記断章。今年も終わりに近づいている。学生の大半がPCないしはタブレットを持っているというデジタル・インフラのパラダイムシフトを踏まえて、電子データだからこその課題を出してみたというのに、手書きにこだわる学生が一定数いる。これはい…
特任講師観察記断章。「説明するというのは、テクストで使われている単語や言い回しとは別の言葉を持ち込むことです。というのも、テクストの言葉を使ってしまったら、単なる繰り返しにしかならないからです。それはトートロジー、同語反復です。では、どの…
特任講師観察記断章。毎度のことながら2コマ連続の3時間以上の長丁場のなか、50人以上の学生の強勢と抑揚と発音を聞き続けるのは骨が折れる。先学期は、個々の音の発音を、舌の位置から息の出し具合、音高や音価といったミクロなレベルでトレーニングした。…
特任講師観察記断章。教養的なものと訓練的なものを無媒介で接続するという節操のない授業を展開している。 発音についてのテクニカルなところに踏み込みすぎず、かといって、単なる口移しではないかたちで、スクリプトの「読譜法」を教授し、朗読させ、それ…
特任講師観察記断章。合理的配慮の試みにたいして原理的に反対するところはまったくないし、理念的には全面的に賛成だ。しかし、現実的な運用については大いに困惑させられているというのが正直なところである。 情報共有はありがたい。しかし、情報だけ投げ…
特任講師観察記断章。実用英語的なテクストからいかにして人文学的な雑談的脱線に学生たちを引き込むか。 今日の遊び。the sulfur is present in fuelのis presentを別の表現で言い換えるとどうなるかという問いかけをした。こちらとしては、existを想定して…