うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧

躍動するリズムの強度、充実した対決の密度、または目の詰まったサイモン・ラトルの音楽

サイモン・ラトルはもうすぐ70歳になろうとしているけれど、彼の作る音楽には若い頃から一貫した特徴がある。硬質でありながら柔軟なリズムの弾み方であり、ミクロなレベルでの高い運動性を、マクロなレベルでの音楽の全体的な強度へと昇華させる手腕だ。 内…

20241103『イナバとナバホの白兎』を観る。

20241103@静岡芸術劇場「イナバとナバホの白兎」 劇評ではなく備忘録として、とりあえず一筆書き的に記しておく。 *2019年6月の再演を見ているので、2回目の観劇体験。大筋では内容を覚えていたし、元ネタであるレヴィ・ストロースの文章を読み、かつ、そ…

20241103 フランスのルーアン市立コンセルヴァトワール学生による「フランスの歴史をテーマにしたミニパフォーマンス」を観る。

20241103@静岡芸術劇場ロビー、フランスのルーアン市立コンセルヴァトワール学生による「フランスの歴史をテーマにしたミニパフォーマンス」 王政時代を象徴するらしいラシーヌとリュリに始まり、フランス革命によって王殺しが成し遂げられる。近代市民社会…

20241109 静岡市美術館「写真をめぐる100年のものがたり 100 Year Story of Photographyーー京都国立近代美術館コレクションを中心に」を観る。」

20241109@静岡市美術館「写真をめぐる100年のものがたり 100 Year Story of Photographyーー京都国立近代美術館コレクションを中心に」 説明的に見えるタイトルはその長さのわりには展覧会の内実を語っていない。というよりも、ここには、「写真をめぐる100…

ジョージ・ベンヤミンのアマチュアリズム、またはイギリス化されたスペクトル派の音楽

ジョージ・ベンジャミンは決して指揮の巧い人ではない。メシアンに学び、自作のピアノ曲を自演できるほどのピアノの腕前を持つ作曲家であり、専門的な指揮者ではまったくない。とはいえ、現代音楽を専門とするアンサンブルと関係を持ち、ずいぶん指揮台に立…