うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ズレたままの演出:SPAC宮城聰演出、北村想『寿歌』

20191025@静岡芸術劇場 「ちょっとそこまで」と「ずっとむこうまで」 「「ちょっとそこまで」と「ずっとむこうまで」」は、どのあたりが、似てるんでしょう」とヤスオはゲサクとキョウコに訊き返す。似ているようで似ていない、似ていないようで似ている、…

特任講師観察記断章。「身の丈」。

特任講師観察記断章。「身の丈」発言についていろいろ考えてしまう。文科相がそれを言うのかという批判はもっともだけれど、安倍政権がネオリベ的な自己責任論――不平等に配られたカードによる平等なゲーム――を前提にしているのだから、政権内部にいる大臣が…

万人による差別批判の表と裏:綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(平凡社、2019)

以下の文章は必ずしも綿野の議論の要約にはなっていない。彼の議論の流れに沿いながら、それをすこしべつのかたちに翻訳したものであり、こういってよければ、綿野の主題による変奏曲である。 差別を差別として認識しない(できない)私たちにいかに差別を認…

特任講師観察記断章。身体の強張り。

特任講師観察記断章。学生たちの身体の強張りをどうしたらいいのか。言語が音であり、音が空気の振動である以上、身体という楽器は息づく呼吸によってときにしなやかに奏でられ、ときにするどく打たれなければならないというのに、学生たちの身体反応はあま…

恋愛至上主義の最終的な肯定:「結婚できない男」(2006)

アマゾンプライムに入っていた「結婚できない男」をだらだらと見た。たしかに面白い。多少の中ダレはあるものの、シーズン終わりまで見させるだけの牽引力はある。しかし、見た後にあまり何も残らないのは、結局すべてが恋愛に還元されており、ありきたりの…