うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

猜疑心の実存的な哀しさ、チープ・ポップな不用意な軽さ:モリエール、ジャン・ランベール=ヴィルド演出『守銭奴』

20221211@静岡芸術劇場 チープ・ポップ。舞台はいくつかのエリアに分かれている。中央の空白。下手奥には、Tシャツを暖簾のようにはためかせる、縁日の屋台のような音楽隊のスペース。その上手よりの隣に、オープンなクローゼット。上手奥にはオープンなガ…

想像的に捏造された(のかもしれない)写真の誕生の諸瞬間:村上華子「du désir de voir 写真の誕生」

20221228@ポーラ美術館 村上華子の「du désir de voir 写真の誕生」は展示全体がひとつの作品になっている。それは写真の誕生の複数的な瞬間を創造的に(再)構築しようという試みなのだ。なるほど、たしかに、「写真」というものが具体的なモノとして誕生し…

ピカソの多面性、または勝手な解釈?:ポーラ美術館開館20周年記念展 ピカソ 青の時代を超えて

20221228@ポーラ美術館 「ポーラ美術館開館20周年記念展 ピカソ 青の時代を超えて」は、いままで気づけていなかったピカソの多面性を明るみに出してくれた。 www.polamuseum.or.jp 青の時代の絵画には、エル・グレコの陰を色濃く感じた。青色自体の重さ暗さ…

ベルナール・ビュフェ美術館と井上靖文学館

20221217 ベルナール・ビュフェ美術館と井上靖文学館。クレマチスの丘と呼ばれる一角には、ヴァンジ彫刻庭園美術館に加えて、ベルナール・ビュフェ美術館と井上靖文学館がある。後者は1973年11月25日に同時開館したようだが、前者の開館は2002年4月28日。し…

特任講師観察記断章。ChatGPTの恐るべき凄さ。

特任講師観察記断章。ChatGPTが凄いという話をNew York TimesやVoxのポッドキャストで聞いて、今日、学生の前で実演してみせたのだけれど、想像の何倍も凄かった。 簡単な指令を出すだけで、平均点のエッセイを即座に生成してくれる。 AIがここまできた以上…

得体の知れないおしゃれさ:インクルーシヴなヴァンジ彫刻庭園美術館

20221217。長泉町にあるクレマチスの丘に点在するヴァンジ彫刻庭園美術館とベルナール・ビュッフェ美術館と井上靖記念館を巡ってきた。 ヴァンジ彫刻庭園美術館は、イタリア人彫刻家のジュリアーノ・ヴァンジの作品を収蔵する美術館。庭園と冠されているよう…

「この魚だって友だちだ」:ヘミングウェイ、今村楯夫訳『新訳 老人と海』

希望を抱かないことは愚かなことだ、と老人は思った。(99頁) It is silly not to hope, he thought. ヘミングウェイの『老人と海』を読み返したのは20年ぶりぐらいだろうか。と書きながら、『老人と海』はもしかすると初めて英語で読み通した本のうちの一…