うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

特任講師観察記断章。英語力と思考力。

特任講師観察記断章。英語できちんとした文章を書くために必要なのは、究極的には、狭義の英語力ではなく、広義の思考力であり、話を作る能力だ。日本語で論理的に語ったり、説得的な物語を作ったりできないとしたら、どうして英語でそのようなことができる…

アバドの不完全さ:完結を拒否するワークインプログレス

クラウディオ・アバドの音楽は、なにかとても不完全に聞こえる。オーケストラのほうに能力が欠けているからではないし、指揮者のほうの力不足ということでもないだろう。音楽をする歓びがあふれだしているし、知的な洗練とともに、肉感的な愉楽もある。にも…

カリフォルニア風の要素でカモフラージュ(ピンチョン『ブリーディング・エッジ』)

「秘密の何かをしでかそうとして世間の目をそらしたいとき、ちょっとカリフォルニア風の要素を入れてカモフラージュするのがコツって知ってた? そうすれば確実に笑い者になるし、誰も気に止めなくなるよね」(ピンチョン『ブリーディング・エッジ』176頁)

特任講師観察記断章。統合者としての語学教師。

特任講師観察記断章。社会道徳は時代によって移り行くものだから、わたしたちのほうにもアップデートが必要になるわけだけれども、OSやソフトウェアと違うのは、倫理の最新版のダウンロードやインストールは自動的にお知らせが入らないところだろう。手動で…

特任講師観察記断章。褒めたり叱ったりという情動的交感。

特任講師観察記断章。大学教育はどこからどこまでのものなのだろう。既存の知の共有と新たな知の創出が、そのコアにあることは確信しているのだけれど、褒めたり叱ったりという情動的交感は、大学教育の範疇に入るのか。入るとすれば、どのあたりに位置付け…