引用
「二人なら三人分働けるけれど、一人で二人分やることはできない[two people can do three jobs but one person cannot do two]」(Le Guin. The Last Interview and Other Conversations. 173)
「わたしたちの文化がかかえている困った問題のひとつは、想像力に敬意を払わず、想像力をトレーニングしないことです。想像力には練習が必要です。実際に使ってみる必要があります。たくさんの物語に耳を傾けたことがなければ、そして、どうやるのかを学ん…
「もし物語で言おうとしていることを正確に言えるとしたら、たくさんの言葉を費やしてそれをそのまま言えばいいだけのことです。やきもきして、大騒ぎして、プロットとキャラクターたちを作ることはないでしょう。物語で言うのは、それがそう言うことができ…
「20世紀の——そして21世紀の——多くのアメリカの読者はそれ[リアルなもの]だけを求めています。求めているのはノンフィクションなのです。そのような人々はこんなふうに言うでしょう、「フィクションは読まない、リアルじゃないから」。これは信じられない…
「フランス語は受動態を嫌うと言われています。実際に調査してみると、確かに英語や日本語に較べてフランス語では受動文は少ないのです。「主語-動詞-直接目的語」という語順を直接語順(order direct)と呼びますが、フランス語は直接語順を好む傾向が他…
我々は万人を愛することはできないが、万人の尊厳には敬意を払わねばならない。好意を持ってくれることを要求はできないが、我々の人格にたいする敬意を要求する権利は絶対的なものである。相互的な愛という基盤のうえに新たな社会を築くのは不可能だ。だが…
20240505@グランシップ6階 交流ホール 『マミ・ワタと大きな瓢箪』 メルラン・ニヤカムの身体は弾み、震え、曲がり、たわみ、ねじれ、躍動する。それは、厳密な規律訓練によって幾何学な不自然さを自明性へと昇華させたような西洋的なバレエの身体の対極に…
「数が多いほど力が増すというのが私たちの知識ではあるが、じつは船に乗せる奴隷の数を増やすと、反乱が起きやすくなるどころか、起きにくくなるのだ。たとえば、船に乗せる奴隷を100人増やすと、反乱のリスクが最 大80%減少すると推定されている。 その理…
「話し手が〈X que Y〉と言うとき、情報の比重がYにかかっているときは直説法、Xにかかっているときは接続法という法則が成立しそうです。すなわち、主節が表す「喜怒哀楽」「判断」「頻度」などに情報のポイントがあるから、「従属節を接続法にしてその部分…
第一部 物語 気候変動の危機はまた、文化の危機であり、したがって、想像力の危機でもあるのだ。[. . . the climate crisis is also a crisis of culture, and thus of the imagination.](16‐17 [9] 頁 ) 環境をめぐる〈不気味なもの〉は、超自然な不気味…
文章は、なにかないものとして描き出すことで、それを記述することができないところを言葉で占めることで、陽否陰述に自己言及的なねじれを生じさせるが、このねじれは、なにかを記述する私たちの能力をどれほどまでに言葉が駄目にしているかということへの…
「近代人のこれまでの選択は、つねに古いものと新しいものとのあいだの選択だった[…]近代人にとって過去に架ける橋はない。過去はつねに乗り超えられるもの、時代遅れになるものだ。[…]伝統の概念を懐古的だと笑い飛ばし、伝達、遺産、再生のすべての形…
「近代化に抵抗するとは、自らの地所の代わりに他の地所が用意されることを、勇気をもって拒むことである。」(ラトゥール『地球に降り立つ』33頁)
「人間が他の生命体と絡まり合っているという事実は、私たちに集団的および個人的なところで影響を及ぼしている現在のパンデミックに関する物語においてだけでなく、惑星的なレベル――たとえば地球システムの歴史―—においても明瞭である。だがこれらの絡まり…
「惑星、つまり地球システムは、私たちとの関わりにおいてかつてのそれとは異なっている。生命を支える惑星的なプロセスは、私たち人間という目的に仕えることを求められているわけではない。人間は、この惑星の生命の歴史における、偶然の産物の一つである…
"A genuine revolution of values means in the final analysis that our loyalties must become ecumenical rather than sectional. Every nation must now develop an overriding loyalty to mankind as a whole in order to preserve the best in their i…
"For we’ve come to see the power of nonviolence. We’ve come to see that this method is not a weak method, for it’s the strong man who can stand up amid opposition, who can stand up amid violence being inflicted upon him and not retaliate w…
「翻訳というのは実に謎めいています。いよいよ私は書くという行為そのものが翻訳である、あるいは他のいかなるものよりも翻訳のようなものであると感じるようになりました。もうひとつのテクスト、オリジナルは何でしょう? 私は答えを持ち合わせていません…
「文体はとても単純な問題です。すべてはリズム。いったんリズムをつかんだら、間違った言葉を使うなんてことはありえなくなる。でも、そうは言いつつ、朝も半ばすぎているのに、わたしはここに座っている。アイディアやヴィジョンなんかが頭に一杯詰まって…
「本は単なる商品ではありません。利益追求という動機は、芸術の目標とは嚙み合わないことがしょっちゅうです。私たちは資本主義社会で暮らしています。資本主義的な力からは逃れられないように思われます。けれど、王の神授の権だってそうだったのです。ど…
「私の理解では、マルクスはヘーゲルを十分踏まえていない。(「分かった」)彼はヘーゲルの弁証法は取り上げたが、彼の唯心論と精神主義は取り除いた。そしてマルクスはフォイエルバッハという名のドイツ哲学者を取り上げて、その唯物論を自分が「弁証法的…
「わたしたちは孤立すると気が狂う。わたしたちは社会性に富む霊長類だ。人間には属することが必要だ。お互いに属すること。もちろん、それが第一だ。けれども、わたしたちは遠くまで見ることができ、賢く考えを巡らすことができ、大いに想像することができ…
「子どものために書かれたから、あるいは、子どもが読むからという理由で、本をまじめな考察の対象から外し、投げ捨てるというのは、反知性主義的な野蛮な行為にほかならない。」(ル=グウィン、谷垣暁美訳「批評家たち、怪物たち、ファンタジーの紡ぎ手た…
「(年齢にかかわらず)成熟していない人たちは、道徳的な確かさを望み、要求します[…]彼らは勝つ側にいると感じたいのです。少なくともそのチームの一員だと思いたいのです。彼らにとって、ヒロイック・ファンタジーは、倫理的な明快さを感じさせてくれる…
「自由の国は、実際、窮迫と外的合目的性とによって規定された労働がなくなるところで初めて始まる。したがって、それは、事柄の性質上、本来の物質的生産の領域の彼方にある。未開人が、彼の欲望を充たすために、彼の生活を維持しまた再生産するために、自…
「人間が人間として存在し、人間と世界との関係が人間的な関係である、という前提に立てば、愛は愛としか交換できないし、信頼は信頼としか交換できない。芸術を楽しみたいと思えば、芸術性のゆたかな人間にならねばならない。他人に影響をあたえたいと思え…
「自分のためだけなら簡単に諦めが付く/何かのためなら命をかけて戦える」(野田サトル「第296話 武士道」『ゴールデンカムイ』)
「自由な人たちの都市をつくることはできよう。だが、無知な者にとって、自由にどんな意味があるのか? 自由とは、自分に何が必要かを学び、自分にとって何が好ましいかを考える精神の力にほかならない。たとえ体が鎖につながれていても、頭の中に、哲学者た…
「恐れている対象を蔑むこと、不当な見方だと知りながらその見方を選びとることに、甘ったるい自己嫌悪をほんの少し感じた。」(ル=グウィン『パワー 西のはての年代記III』)
「よく知っているつもりの土地でも、行っていない町や丘が必ず残っているし、まだ見ぬ世界がなくなるなんてことはありえない」(ル=グウィン『ヴォイス 西のはての年代記II 』) And even if you know a land well, there’s always a town or a hill you ha…