引用
「話し手が〈X que Y〉と言うとき、情報の比重がYにかかっているときは直説法、Xにかかっているときは接続法という法則が成立しそうです。すなわち、主節が表す「喜怒哀楽」「判断」「頻度」などに情報のポイントがあるから、「従属節を接続法にしてその部分…
第一部 物語 気候変動の危機はまた、文化の危機であり、したがって、想像力の危機でもあるのだ。[. . . the climate crisis is also a crisis of culture, and thus of the imagination.](16‐17 [9] 頁 ) 環境をめぐる〈不気味なもの〉は、超自然な不気味…
文章は、なにかないものとして描き出すことで、それを記述することができないところを言葉で占めることで、陽否陰述に自己言及的なねじれを生じさせるが、このねじれは、なにかを記述する私たちの能力をどれほどまでに言葉が駄目にしているかということへの…
「近代人のこれまでの選択は、つねに古いものと新しいものとのあいだの選択だった[…]近代人にとって過去に架ける橋はない。過去はつねに乗り超えられるもの、時代遅れになるものだ。[…]伝統の概念を懐古的だと笑い飛ばし、伝達、遺産、再生のすべての形…
「近代化に抵抗するとは、自らの地所の代わりに他の地所が用意されることを、勇気をもって拒むことである。」(ラトゥール『地球に降り立つ』33頁)
「人間が他の生命体と絡まり合っているという事実は、私たちに集団的および個人的なところで影響を及ぼしている現在のパンデミックに関する物語においてだけでなく、惑星的なレベル――たとえば地球システムの歴史―—においても明瞭である。だがこれらの絡まり…
「惑星、つまり地球システムは、私たちとの関わりにおいてかつてのそれとは異なっている。生命を支える惑星的なプロセスは、私たち人間という目的に仕えることを求められているわけではない。人間は、この惑星の生命の歴史における、偶然の産物の一つである…
"A genuine revolution of values means in the final analysis that our loyalties must become ecumenical rather than sectional. Every nation must now develop an overriding loyalty to mankind as a whole in order to preserve the best in their i…
"For we’ve come to see the power of nonviolence. We’ve come to see that this method is not a weak method, for it’s the strong man who can stand up amid opposition, who can stand up amid violence being inflicted upon him and not retaliate w…
「翻訳というのは実に謎めいています。いよいよ私は書くという行為そのものが翻訳である、あるいは他のいかなるものよりも翻訳のようなものであると感じるようになりました。もうひとつのテクスト、オリジナルは何でしょう? 私は答えを持ち合わせていません…
「文体はとても単純な問題です。すべてはリズム。いったんリズムをつかんだら、間違った言葉を使うなんてことはありえなくなる。でも、そうは言いつつ、朝も半ばすぎているのに、わたしはここに座っている。アイディアやヴィジョンなんかが頭に一杯詰まって…
「本は単なる商品ではありません。利益追求という動機は、芸術の目標とは嚙み合わないことがしょっちゅうです。私たちは資本主義社会で暮らしています。資本主義的な力からは逃れられないように思われます。けれど、王の神授の権だってそうだったのです。ど…
「私の理解では、マルクスはヘーゲルを十分踏まえていない。(「分かった」)彼はヘーゲルの弁証法は取り上げたが、彼の唯心論と精神主義は取り除いた。そしてマルクスはフォイエルバッハという名のドイツ哲学者を取り上げて、その唯物論を自分が「弁証法的…
「わたしたちは孤立すると気が狂う。わたしたちは社会性に富む霊長類だ。人間には属することが必要だ。お互いに属すること。もちろん、それが第一だ。けれども、わたしたちは遠くまで見ることができ、賢く考えを巡らすことができ、大いに想像することができ…
「子どものために書かれたから、あるいは、子どもが読むからという理由で、本をまじめな考察の対象から外し、投げ捨てるというのは、反知性主義的な野蛮な行為にほかならない。」(ル=グウィン、谷垣暁美訳「批評家たち、怪物たち、ファンタジーの紡ぎ手た…
「(年齢にかかわらず)成熟していない人たちは、道徳的な確かさを望み、要求します[…]彼らは勝つ側にいると感じたいのです。少なくともそのチームの一員だと思いたいのです。彼らにとって、ヒロイック・ファンタジーは、倫理的な明快さを感じさせてくれる…
「自由の国は、実際、窮迫と外的合目的性とによって規定された労働がなくなるところで初めて始まる。したがって、それは、事柄の性質上、本来の物質的生産の領域の彼方にある。未開人が、彼の欲望を充たすために、彼の生活を維持しまた再生産するために、自…
「人間が人間として存在し、人間と世界との関係が人間的な関係である、という前提に立てば、愛は愛としか交換できないし、信頼は信頼としか交換できない。芸術を楽しみたいと思えば、芸術性のゆたかな人間にならねばならない。他人に影響をあたえたいと思え…
「自分のためだけなら簡単に諦めが付く/何かのためなら命をかけて戦える」(野田サトル「第296話 武士道」『ゴールデンカムイ』)
「自由な人たちの都市をつくることはできよう。だが、無知な者にとって、自由にどんな意味があるのか? 自由とは、自分に何が必要かを学び、自分にとって何が好ましいかを考える精神の力にほかならない。たとえ体が鎖につながれていても、頭の中に、哲学者た…
「恐れている対象を蔑むこと、不当な見方だと知りながらその見方を選びとることに、甘ったるい自己嫌悪をほんの少し感じた。」(ル=グウィン『パワー 西のはての年代記III』)
「よく知っているつもりの土地でも、行っていない町や丘が必ず残っているし、まだ見ぬ世界がなくなるなんてことはありえない」(ル=グウィン『ヴォイス 西のはての年代記II 』) And even if you know a land well, there’s always a town or a hill you ha…
「誠実であるためには知らなければならない。勇敢であるためには理解しなければならない。公正であるためには忘れることは許されない。野蛮の軛が締めつけるならば、戦わねばならず、沈黙してはならない。このような時代に沈黙する者は彼の人間的使命を裏切…
「わたしはいつも不思議に思っていた。創り人たちはどうして家事や料理を物語から締め出すのだろうと。偉大な戦いは、そのためにこそ戦われるのではないのか──一日の終わりに、安らぎに満ちた家の中で家族が一緒に食事をするためにこそ。国を離れることを余…
「自分の夢や最も親密な欲望を、王侯貴族として高みから扱うこと……。それらに気づかないような心の繊細さを持つこと。私たちの存在のうちにおいて自分だけではなく、別の者がいることを理解し、私たちが自分の証人であり、それゆえ、自分にたいしてあたかも…
「皆さんから[私の方法の]正しい理解を引き出すために、とりわけお願いしたいのは、私たちの口というものを、その様々な要素もろともに、言語と総称されるある種の意味豊かな楽音を奏でることができるような、一つの楽器と見なしていただきたい、というこ…
「すべてを軽蔑せよ。だがこの軽蔑によって窮屈にならないように。軽蔑によって他人に優るなどと信じるな。軽蔑の高貴な術のすべてはそこにある。」(フェルナンド・ペソア『不穏の書、断章』318頁)
La plupart des tribus n'ont jamais eu d'esclaves: c'est un crime pour l'Afghan que de « vendre des hommes »; il les tue, mais ne les avilit pas. (Reclus. Nouvelle géographie universelle. vol. 9, 62) Few of the tribes have ever had any slav…
「母は人に対して警戒心をもつのが苦手だった。警戒心は母の性格にふさわしくないものだったからだ。母は好意のないところに好意を見ることによって、しばしば好意をつくりだしてきた。館の人々は喜んで母に仕え、母とともに働く。母に対しては、気難しい農…
「さて、知的行動をとる人間もそうだが、本能的に行動する動物が、ときどき彼らなりの妄想や錯覚にとらわれて、ものごとを見誤り、まちがった刺激によって自分たちに不利な行動に駆り立てられることは、よく知られた事実である。群れや家族のものたちが、仲…