うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2024-01-06から1日間の記事一覧

抵抗と変化(ル=グウィン『私と言葉たち』)

「本は単なる商品ではありません。利益追求という動機は、芸術の目標とは嚙み合わないことがしょっちゅうです。私たちは資本主義社会で暮らしています。資本主義的な力からは逃れられないように思われます。けれど、王の神授の権だってそうだったのです。ど…

個人的にして社会的な生、または資本主義と共産主義のジンテーゼとしての兄弟愛の国(M・L・キング「ここからどこへ行くのか」)

「私の理解では、マルクスはヘーゲルを十分踏まえていない。(「分かった」)彼はヘーゲルの弁証法は取り上げたが、彼の唯心論と精神主義は取り除いた。そしてマルクスはフォイエルバッハという名のドイツ哲学者を取り上げて、その唯物論を自分が「弁証法的…

動物の他者性、異質性と結びつくこと(ル=グウィン『いまファンタジーにできること』)

「わたしたちは孤立すると気が狂う。わたしたちは社会性に富む霊長類だ。人間には属することが必要だ。お互いに属すること。もちろん、それが第一だ。けれども、わたしたちは遠くまで見ることができ、賢く考えを巡らすことができ、大いに想像することができ…

子どもが読む本を真面目に受け取る(ル=グウィン『いまファンタジーにできること』)

「子どものために書かれたから、あるいは、子どもが読むからという理由で、本をまじめな考察の対象から外し、投げ捨てるというのは、反知性主義的な野蛮な行為にほかならない。」(ル=グウィン、谷垣暁美訳「批評家たち、怪物たち、ファンタジーの紡ぎ手た…

想像力による文学の問いかけ、または戦争以外の可能性(ル=グウィン『いまファンタジーにできること』)

「(年齢にかかわらず)成熟していない人たちは、道徳的な確かさを望み、要求します[…]彼らは勝つ側にいると感じたいのです。少なくともそのチームの一員だと思いたいのです。彼らにとって、ヒロイック・ファンタジーは、倫理的な明快さを感じさせてくれる…