うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

和声を操るリヒャルト・シュトラウス:グレインジャーのアレンジから聞こえてくるもの

リヒャルト・シュトラウスにとって、オーケストレーションは、作業的にこなせるものだったらしい。子どもが横で騒いでいるリビングであろうと、なんの問題もなくスコアの作成を機械的に進めていくことができた、とどこかで読んだことがある。 ポスト・ワーグ…

文化の生産者として、文化への参加者として(ヘンリー・ジェンキンズ『コンヴァージェンス・カルチャー』)

「結局のところ、ファンダムとは魅了された状態 fascination と欲求不満の状態 frustrationとのバランスから生まれる。もし、メディアのコンテンツが私たちの強い興味をそそらなければ、そのコンテンツと関わろうとする欲求は生まれてこないだろう。しかし、…

複数形のユートピア(グリッサン『ラマンタンの入江』)

「私たちの複数形のユートピアは、ひとつの対象の改善ではない。私たちのユートピアは、あらかじめ何かを前提とすることはない。完全な形態を目指す規範的作業を想定しているわけではない。私たちのユートピアは、あらゆる尺度とあらゆる度外れなるものとを…