2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧
20181215@静岡芸術劇場 「貧しい」演劇の豊かさ 多田淳之介演出の『歯車』は「貧しい」演劇だった。内容が貧しかったという批判ではない。チープな道具立てでどこまで豊かな演劇を作ることができるかという実験ではなかったか、という問いかけである。それ…
20190224@やどりぎ座 元ネタ(能)、二次創作(三島)、二次²創作 三島の近代能楽集は、古典能のアップデートというよりは本歌取りというべきものだろう。人物や舞台設定、物語の筋書きを踏襲して、それを昭和的世界のなかにリライトする。しかしこのリライ…
"...la poésie est anarchique dans la mesure où elle remet en cause toutes les significations. Elle est anarchique aussi dans la mesure où son apparition est la conséquence d'un désordre qui nous rapproche du chaos." (Artaud. Le théâtre et …
「愛はみんな怖しいんですよ、愛には法則がありませんから。あなたのような苦しみのない愛も、いつかはそういう怖しさに会うんだわ。私はあの人のほそぼそとした望み、あの人のともすれば消えそうになる燈芯に、毎日希望の火を点けるのが好きなの。でも私は…
「イーベリン 私は地主の敵だというのだ、だがこんな間違った話はない。/ 私の判決は所有権に対して下したものではなく/ ただ所有権の濫用に対して下したものだ。」(ブレヒト『まる頭ととんがり頭』) イーベリン=ヒトラー。資本=金の問題と、人種の問…
「ヨハンナ スパイなんかじゃありません。心からあなた方の問題を考えているんです。 第二の指導者 俺たちの問題? じゃ、あんたの問題ではないのかね? ヨハンナ 工場主があんなにたくさんの人たちを路頭に放り出したのに、それでも一般の人たちは無関心な…
20190217@静岡芸術劇場 「墓場で運動会」な『地獄篇』死神エルメスが死者である与太郎を閻魔大王の前にまで連れていく。その道中で、彼らは死者や妖怪に遭遇し、妖怪たちの歓待を受ける。しかし、横槍も入る。「ほっぺたのように赤い」与太郎の魂のボールは…
「彼の演劇は活動家にはあまりに美学的と映り、耽美主義者にはあまりにコミットしていると映るのだ。だがそれも当然で、というのもまさしく彼が狙っているのは、目がみえないとはどういうことかを舞台にのせるという、ごく限られた地帯なのだから…彼にとって…
「笑われ、恥をかかされても、僕たちは道理のあることをやり通そう。古いしきたりは、正しい考えをとりいれる邪魔にはならないはずだ。」(ブレヒト『イエスマン ノーマン』)
「裁判官 あなたは苦力があなたを憎んでいるに違いないと考えて当然だとおっしゃっているんですね。とすると、あなたは状況によってはなんら殺意をもたないといえる人間を殺されたけれども、それはただ彼が殺意をもたないことを知ることができなかったためだ…
「万有とひとつになること、それが神性に充ちた生である。それが人間の至境である……神にさえなりうる人間が、どうして奴隷の状態をめざしてもがくことがあろう。」(ヘルダーリン『ヒューペリオン』)
特任講師観察記断章。ほめて、しかって、しめくくる。学生のプレゼンについてはできるだけその場で直ちにコメントを出すようにしているし、できるだけ褒めるようにしている。まずは褒めて、持ち上げる。改善点は後から指摘する。しかし、そのさいも、「ダメ…
「かれは他人の頭で考えた。と、同時に、かれの頭で他のひとびとが考えた。これが正しい思考なのだ。」(ブレヒト「[介入する思考について]」)
「歴史の本や劇作のなかでは、人間の行動についてはたいてい、わずかすぎる動機しか挙げられていない。まるでたったひとつの動機から行為がなされたかのような、外見が生み出されている。そういうえがきかたはうまくない。というのは、主要な動機を知ればな…
20190202@世田谷パブリックシアター 切り離して繋ぎ変える 言葉、身体、音楽のつながりが作り変えられる。ここでセリフと所作は統合されておらず、身体の運動はキース・ジャレットの演奏するバッハ平均律とシンクロする。 冒頭、ハ長調のプレリュードとフー…
「「在日特権を許さない市民の会」は反近代的な運動と考えることはできません。もちろん彼らには、基本的人権を普遍的に尊重しようとする姿勢はほとんどみられませんし、人権の普遍主義には興味がないようです。しかし、彼らは、近代国家の領土性を尊重して…