うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

特任講師観察記断章。Nessun Dorma。

特任講師観察記断章。Nessun Dorma。授業中に夢の世界に遠征中の学生を見ると、プッチーニのあの有名なアリアの出だしが耳にこだまする。しかし、「誰も寝てはならぬ」という命令とも願望とも言いがたい言明はどこまで妥当なものなのだろうかと思う気持ちも…

ひとりよがりになる力を失くして(ヴォルテリン・ド・クレールの手紙)

"I like you as a spirit akin. I like you because you are strong and because you are troubled with weakness; because you are not cocksure; because you have lost the power to be narrow." (Voltairine de Cleyre to Berkman.19060807. Quoted in S…

原‐テクストからのこだま:フォーレのエチュード・ヴォカリーズの個性と無個性

パリのコンセルヴァトワールの院長就任翌年の1906年に作曲されたエチュード・ヴォカリーズは、まずなにより教育的な「練習曲」として意図されていたのかもしれないが、ここには、その後に紡ぎ出されていく晩年のピアノ曲や歌曲や室内楽曲に通じるような雰囲…

作為の彼方の無造作:Thomas Demengaのバッハ無伴奏チェロ組曲

超絶技巧もここまでくると、適当に弾きとばしているかのように聞こえてしまうが、もちろんそんなことはない。作り込まれた自然さであり、突き詰められた融通無碍だ。 この軽やかにスルスル前に進んでいく流れは、バロック弓と低いチューニングによるところが…

ポスト古楽器な溶け合う響きにオールディーな構築性:Danish String Quartetのベートーヴェン

『ニューヨーカー』でアレックス・ロスが褒めていたDanish String Quartetは久々に「これは!」という演奏だった。旋律の叙情性をエスプレッシーヴォで表現しつつ、どの音もほかの音と意識的に重ね合わされている。 音を時間的にシンクロさせるのはわりと機…

特任講師観察記断章。ノーガードな正直さ。

特任講師観察記断章。嘘の言い訳をすることを勧めたい気持ちはこれっぽっちもないけれど、ノーガードな正直さをあっけらかんと見せつけられると、さすがに考え込んでしまう。しかしこの愚かしいまでの純真さは、現代日本の教育現場において、教師と学生のあ…

20200104 Day12(最終日) 帰国便を待つあいだにエジプトのビールStellaを啜りながら綴られた断章的フィナーレ。

実在の響き、または鳴り響くクラクション。聴覚的な意味でいちばん驚かされたのは車のクラクションだ。最初は威嚇なのかと思ったが、ずっとこのけたたましい音を聞いていると、これはこれで機能的な騒々しさなのだと思えてきた。ここにもノイズ的で即興的な…

20200104 Day 12(最終日) マニアル宮殿と博物館。

観光に使えるのは午前中だけなので、近場でどこかひとつという話になり、ロンリープラネットが挙げるカイロで見るべき8ヵ所の8番目にランクインしているマニアル宮殿と博物観に行ってみる。ここは19世紀初頭にエジプトの近代化を成し遂げたムハンマド・アリ…

20200103 Day 11 アズハル・モスクとムイッズ通り。

アズハル・モスクは10世紀終わり、ファティマ朝初期に建てられたモスクであり、カイロのイスラム建築のなかでも最初期に当たるばかりか、現在でもイスラム神学の中心的な地位を占める場所であるらしい。近くにはアズハル大学がある。東南アジアのイスラム教…

20200103 Day 11 ハン・ハリーリ市場。

日本のガイドブックではショッピングの項目で真っ先に取り上げらる場所ではあるけれど、正直、そこまで面白い場所でもない。日本の観光地によくある土産物屋の大集合体という感じだ。安かろう悪かろうとまでは言わないが、オーセンティックとは言いがたいま…

20200103 Day 11 カイロの街歩き再び。

昨日はツアー会社の車でカイロのホテルまで送ってもらったおかげで、カイロの街を車のなかからじっくり見る機会があった。そのおかげでいくつか気づいたことがある。 カイロの街中は基本的に一方通行のようだ。だから、交差点は曲がるためのものというよりは…

20200102 Day 11 ダハシュール、サッカラ。

ピラミッドと言ったときすぐわたしたちの頭に浮かぶのは、ほぼ間違いなく、ギザの3大ピラミッドのなかでも最大の規模を誇るクフ王のピラミッドだろう(たとえクフ王のピラミッドとは知らないとしても)。それから、スフィンクス。それらの圧倒的な知名度にく…

20200101 Day 10 ギザの3大ピラミッド、またはピラミッドからの転落。

ギザの3大ピラミッドはやはり破格の観光地だろう。圧倒的な存在感がある。しかしその存在感に比例するように、客引きの執拗さも破格だ。ホテルを出た瞬間にタクシーの客引きが寄ってくる。「Cairo, Saqqara, Dahshur, good price」と声をかけてくるのはエジ…

20191231 Day 9 移動日に綴る間奏曲的な雑感3。

トゥクトゥクという乗り物。スクーターの後ろに座席をくっつけたような、不思議な乗り物。近距離の移動にちょうどよい。乗り心地はあまりよくないとも言える。運転手のなかには、自分の車体を思い思いに飾り付けている人もいる。やたらにポップな感じになっ…

20191230 Day 8 聖メナス修道院とアブ・メナ。

世界遺産アブ・メナを訪れるついでに隣りにある聖メナス修道院に立ち寄る。コプト教の施設で、まだ比較的新しい建物なのだと思う。大聖堂(という言葉をコプト教の教会に使っていいのかはわからないが)のなかにある聖書からのさまざまなワンシーンを描いた…

20191229 Day 7 エジプトのスーパー。

大学が出来たことで開店したというスーパーに入った途端、デジャブに襲われる。「そうか、メキシコで見たスーパーに似ているのか!」といきなり思い至る。 しかし次の瞬間、本当にそうかという気分にも襲われる。かなり不思議なフロア・プランのスーパーだか…

20191229 Day 7 カリフォルニアの亡霊、または郊外の風景のグローバル性。

今回のエジプト旅行の大きな動機のひとつは、エジプトのとある大学に出向中の友人を訪ねることだったのだけれど、実際に来てみて、不思議なショックを受ける。ここはアレクサンドリアから120キロくらいで飛ばす車で西に1時間ほどの距離で、彼に言わせると「…

20191229 Day 7 移動日に綴る間奏曲的な雑感2。

アレクサンドリアからウーバーで移動。新たに作られたという道路はあきれてしまうほどにまっすぐだ。遠くには工場が見える。煙突のようなところから炎が上がっているのが見えたりする。そうかと思うと、牧羊犬に率いられた羊の群れがいたりする。道路の中央…

20191229 Day 7 カヴァフィス博物館、マーケット。

カヴァフィスはギリシャ語で書いた詩人だが、アレクサンドリアで生まれ、一時期ここを離れた以外は、生涯をアレクサンドリアで過ごした。カヴァフィスが暮らした部屋がいまは博物館になっている。建物はすぐに見つかったが、入り方は若干トリッキー。博物館…

20191228 Day 6 アレクサンドリアの街歩き続き。

モノとして残っている文化遺産を観光産業にするのは比較的容易なことだ。日本で言えば神社仏閣、西欧で言えば教会、そしてここアラブ世界で言えばモスク。建物は保存できるし、もしそこに儀式や儀礼のような所作レベルにまで落とし込まれた作法という伝統が…

20191228 Day 6 アレクサンドリアの博物館と図書館。

クラクションにもずいぶん慣れてきた。あれは威圧というよりも、音によるウィンカーなのだと思えるようになってきた。信号があってないようなところでは、視覚情報だけでは不十分であり、つねに音で周囲に知らせる必要があるのだろう。だからクラクションが…

20191227 Day 5 アレクサンドリアの市場。

通りを占拠するように売り物を所狭しと並べられている。店のラインナップも、商品のラインナップもあまり変わらない。野菜、果物、魚、肉。それに、たまにパン屋があるくらい。野菜はキャベツ、カリフラワーのような大物から、ビーツやジャガイモのような根…

20191227 Day 5 アレクサンドリアの街歩きと雑感少々。

地中海の逆側(という言い方がすでにヨーロッパ側からになるが)にたどり着いたという気持ちがする。カリフォルニアは地中海性気候だと言うし、何となくカリフォルニアのことが浮かんだけれど、海沿いの道とそこに並び立つ建物という空間造形は、実際、ロサ…

20191227 Day 5 アレクサンドリアの重層的な過去。

エジプトは多層的な歴史を持っている。ざっくり言っても3つの異なる流れがある。ファラオの時代、ギリシャ・ローマの時代、そしてイスラムの時代。それがすべて習合しているわけではないし、混ざり合うというよりは、異質なものが林立しているというようなニ…

20191226 Day 4 移動日に綴る間奏曲的な雑感。

カイロからアレクサンドリアまで列車で移動する。距離にして200キロぐらいらしい。いちばん速い列車で2時間半、遅いものだと3時間半近くかかるようだが、チケットは71EGP(日本円にして500円くらい)と格安ではある。 とりあえずここまではアラビア語が分か…

20911225 Day 3 イスラム地区の南。

歩く、歩く、歩く。ひたすら歩き、気がつけばハーフマラソンの距離ぐらい歩いてしまった。ロンリープラネットで下調べをしてあるとはいえ、グーグルマップを見ながら歩いていると、「本当にここは歩いても安全なんだろうか」というところに入りこんでしまう…

20191224 Day 2 ギリシャ・アルファベットで綴られるキリスト教。

オールド・カイロというカイロ右岸の南側の地区に行ってみる。ここはカイロのなかでもっとも古い地区らしく、イエスがエジプトから逃れて逃げ込んだ地下室というような伝説もある。たしかにモーセはエジプト生まれだし、ファラオの殺害を逃れて云々という話…

20191224 Day 2 エジプトの街歩き(続き)。

また歩きに歩く。べつに街中がすべてマーケット状態になっているわけではないけれど、そうなっているところはそうなっている。大きな道路の下のスペース、つまり基本的に車通りがないところというのが、ひとつのポイントなのだろう。 並んでいるものは基本的…

20191223 カイロの街歩き、カイロタワー。

20191223 カイロの街歩き、カイロタワー。今回のガイドブックはロンリープラネット英語版エジプトで、基本的にガイドブックに沿って動いている。というか定番を見ようと思っているので、無理に外そうとしているわけではないけれど、適当に歩き回っているので…

20191223 Day 1 エジプト考古学博物館の混沌。

20191223 Day 1 エジプト考古学博物館。 朝一で行くと、かなりの行列が出来ている。団体客が来ているのと、かなりザルなのに2度もあるセキュリティチェックのせいだろうと思う。 入場料は200エジプトポンド(だいたい7倍すると日本円に換算できる)で、意外…