また歩きに歩く。べつに街中がすべてマーケット状態になっているわけではないけれど、そうなっているところはそうなっている。大きな道路の下のスペース、つまり基本的に車通りがないところというのが、ひとつのポイントなのだろう。
並んでいるものは基本的に洋服類が多い。とはいえ、大量生産品の中古品が大半で、こういうものが売れるのかとも思うのだけれど、意外と手に取って見ている人が多い。その場で肉をさばいている肉屋がいてちょっと怯んでしまう。
道端でパン(というか、アメリカだとフラットブレッドというような名前だったような、ナンを薄くしたような感じというか、クレープをちょっと厚くした感じというか)を売っていたりもする。あとは、ナッツを焼いているスタンド。
それから、焼きトウモロコシ(これのせいなのか、トウモロコシの芯が道端に捨ててあるのを何度も見かけた)。鳥の羽で作ったようなウチワであおぎながら、炭火で焼いている。まったく同じ感じの焼きトウモロコシ売りを街の数か所で見かけたので、元締めのようなものがありそうな気がする。何かソースのようなものを塗ってあるようにも見えて、なんとなく「醤油かな」と思い、「いや、なんで醤油だよ、エジプトで醤油はありえないだろう」とひとりノリツッコミをしてしまう。
本当に面白いのはこうした道端の露店的なところの奥にある小道なのだろう。写真に撮ることしかできなかったけれど、それは、この奥は観光客が行くにはあきらかに危ない感じがするからだ。
このあたりのところを歩いているアジア人はいない。観光地だと「日本人?」のように絡まれるけれど、ここだとそれはない。奇異の視線のようなものが飛んでこないわけではないが、基本的に無関心だ。
そういえば昨日街を歩いていたら、ある若いエジプト人から「日本人?」と英語で聞かれたから、「そうだよ!」と答えて速足で歩き去ると、「You walk like an Egyptian!」と言われたのだけれど、あれはなぜだったのだろう。
そんなことを思いながら、カイロの街を歩く、歩く、歩く。