うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

20230528@静岡市美術館「おいしいボタニカル・アート」を観る。

口当たりの良い、薄味の展覧会。趣味の良い、と形容する人もいるかもしれないし、あえて反論はしないけれど、そのようなコメント自体が趣味の浅薄さを露呈しているのですよと皮肉の一つも言ってみたくなるところ。 会場に4カ所だったか、19世紀のいくつかの…

20230520 異世界物語について少し考える。「俺はまだ本気出していないだけ」から「わたしまたやらかしてしまいました?」へ。

Duolingo を無料版でやっていると、いろいろと広告を見ることになる。いろいろとゲームをやったり、アプリを入れたりしてみている。 広告に出てくる漫画がいかにもな異世界のもので、逆に興味を惹かれて読んでみたけれど、そこで思い出したのは、2000年代ぐ…

翻訳語考。Remark を「コメント」と訳すのか。

翻訳語考。Remark を「コメント」と訳すのはいろいろとためらわれる。 しかし、辞書的には決して間違っていない。OEDは定義1に「Observation, notice; (now esp.) comment 」(初出1614)を挙げているし、それと関連のある定義4は「A verbal or written obse…

ロスバウトの『マ・メール・ロワ』:非フランス的、しかし、ドイツ的というわけでもなく

ハンス・ロスバウトはとにかく構築力が抜群に高く、バウハウス的なモダニズムとでも言おうか、機能性を徹底的に突き詰めることでそれを音楽性へと転化しているところがある。しかし、そのような構築性を担うのは、きわめて生々しい、抒情的な(しかし、主観…

20230513 ふじのくに⇄せかい演劇祭2023を振り返る。

今年の演劇祭は、「2023年東アジア文化都市」の開催都市に選ばれた静岡県と連動しているため、東アジア(中国と韓国)からの招聘演目が中心だった。そのせいというわけではないと思うけれど、それぞれの作品のベクトルがひとつひとつ異なるため、単純な優劣…

20230506 『Woman with Flower』(演出:アン・ウィスク)@毎日江崎ビルを観る。

20230506@毎日江崎ビル 『Woman with Flower』(演出:アン・ウィスク) 演劇祭公式ページではジャンルが「バーティカルダンス」となっており、そういうものがあるのかとググってみると、たしかにある。ふたたび公式ページの紹介によれば、「垂直にそびえる…

20230507 『Dancing Grandmothers ~グランマを踊る~』(振付・演出:アン・ウンミ)@静岡芸術劇場を観る。

20230507@静岡芸術劇場 『Dancing Grandmothers~グランマを踊る~』(振付・演出:アン・ウンミ) 舞台の奥の壁に韓国の道を行く車の窓からの眺めが投影されている。特筆すべきものがあるようには見えない。道路沿いにある、ありふれた山や森。構図もアン…

20230506 泉鏡花『天守物語』(演出:宮城聰)@駿府城公園を観る。

20230506@駿府城公園 泉鏡花『天守物語』(演出:宮城聰) 前日行われた「伝統」についての広場トークで、宮城はたしか、「伝統とは歴史について語ることであり、歴史は死者について語ることである」というような趣旨の発言をしていた(わたしの記憶違いで…

20230505 『パンソリ群唱』(演出・作・音楽監督:パク・インへ)を観る。

20230505@楕円堂 『パンソリ群唱』(演出・作・音楽監督:パク・インへ) 済州島に伝わる神々についての民話を題材にした創作劇と言っていいのだろう。「家の神々の起源譚」とのことだが、それはいわば種明かし的なオチであって、メインとなるのは家族の離散…

「真の恋は、心と心」(泉鏡花『天守物語』)

「真の恋は、心と心」(泉鏡花『天守物語』) 言葉の響きが面白い。 ローマ字にするとはっきりするけれど、「お」の音が多い。 shi n no ko i ha ko ko ro to ko ko ro というか、後半は「お」しかない。 前半も、「い」でサンドイッチされている部分は「お…

20230503 『XXLレオタードとアナスイの手鏡』(演出:チョン・インチョル、作 パク・チャンギュ@静岡劇術劇場を観る。

20230503 『XXLレオタードとアナスイの手鏡』(演出:チョン・インチョル、作 パク・チャンギュ@静岡劇術劇場 社会派な題材をシリアスな仕方で、しかし、エンタメ的な完成度を犠牲にすることなく具現化した作品。そんなふうに語ってみたくなる作品だった。 …

202304029/30 『ハムレット(どうしても!)』(オリヴィエ・ピイ演出)@有度を観る。

202304029/30 『ハムレット(どうしても!)』(オリヴィエ・ピイ演出)@有度 シェイクスピアの『ハムレット』の上演であると同時に、『ハムレット』についての言説の表象であり、劇場と演劇とは何かという哲学的な問いを提起し、それをパフォーマンスとし…

20230429 『アインシュタインの夢』(演出:孟京輝)@静岡芸術劇場を観る。

きわめてアヴァンギャルドな舞台。というか、ポストモダンなキッチュと言いたくなるほどに、反解釈なパフォーマンス。 大澤真幸のプレトークによれば、カフカの「田舎医師」や『城』をコラージュ的にサンプリングしているとのことだが、たしかにきわめてカフ…

20230506 静岡市歴史博物館に行く、または家康アンド家康アンド家康プラス近代静岡史

20230506@静岡市歴史博物館 家康アンド家康アンド家康プラス近代静岡史。印象としてはそんな感じ。印象としては、と言うのは、実際のところはちょっと違うから。家康率はおそらく半分行くか行かないかぐらいで、駿府=静岡という場の歴史がもう半分を占めて…