うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

翻訳語考。Remark を「コメント」と訳すのか。

翻訳語考。Remark を「コメント」と訳すのはいろいろとためらわれる。

しかし、辞書的には決して間違っていない。OEDは定義1に「Observation, notice; (now esp.) comment 」(初出1614)を挙げているし、それと関連のある定義4は「A verbal or written observation; a comment; a brief expression of opinion or criticism」となっている。ただ、英単語の音とは異なるカタカナ語を当てるのはアリなのかという気もするところ。

とはいえ、辞書に載っている訳語がどれもしっくりこない。リーダーズは「コメント」を挙げる前に「言, 評言, 所見, 所感」を含めているが、自分が使う語彙ではないせいもあり、いまひとつピンとこない。

そこで comment をリーダーズで引くと「論評, 評言, 批評; 注解, 解説, 説明; うわさ話, 世評」が出てくるけれど、「論評」や「解説」や「批評」では「a brief expression of opinion or criticism」に合わせるには重たすぎる、「注解」では note のような方向に言ってしまうだろう。かといって「意見」ではちょっと主観的なところが強すぎるのではないか。

そのあたりを勘案すれば「発言」がいい塩梅だと思うけれど、これだと「verbal」な側面がクローズアップされてしまう。そして、いま訳している本での意味はおおむね「written」なものなのだ。

というわけで、妥協案として(かつ、良案を思いついたときに簡単に置き換えられるように)「評言」としているのだけれど、座りが悪いことこのうえない。