うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

特任講師観察記断章。マルチタスクがデフォルトとなった教室。

特任講師観察記断章。もはや学生にこちらの話をマルチタスクではなく聞くことを求めるのが無理なのかもしれない。というよりも、今の世代がシングルタスクでやっていることは、どれだけあるのだろうかと問うべきかもしれない。

もちろん、ながら聞きは昔からあったはずだ。誰かと話しながら映像を見るというのもあっただろう。しかし、いまや、誰かと話しながら(チャットしながら)見たり聞いたりするのがデフォルトになってしまっているのではないかという気がする。その態度が教室にも持ち込まれている。

こちらが説明をしているのに隣と喋るとき、きっと悪気はないのだろう。話は聞いているつもりなのだろう。つまらないから、退屈しているから話しているのではなく、何かをしながら聞くのが普通だと感じているから、ナチュラルにそうしているのだろう。友達同士の会話中にスマホを見るのが普通であるように。

だから、その場で詰問しても、その時限のあいだはある種の恐怖政治的雰囲気によって表面的に改善されるだけで、長期的にはあまり効果がないようにも感じる。ディスカッションの時間を大目に取り入れ、周りと話す時間を確保している授業でこのありさまなのだ。