日々の雑感
モントリオール4日目午後。本屋と図書館に立ち寄る。フランス語がメインで、新書古書の両方をとくに区別もなく店に並べており、CDやDVDも扱っている。驚いたのは、Bibliothèque et Archives nationales du Québec(ケベック州立図書館文書館、とでも訳そうか…
モントリオール4日目午前。3日もいたら、だいぶ雰囲気はわかってきたし、日常のシステムにも慣れてきた。フランス語のみの場合もあるけれど、標識などは基本的に仏英併記。クレジットカードの読み取り機でさえフランス語か英語かを選ばせる。 しかし、3日で…
モントリオール3日目まとめ。街を睥睨する山にある公園を歩き、また教会に行き、美術館に行った。なんだかんだで歩行距離は15キロ近い。 郵便ポストは最初ラクガキでもされているのかと思ったけれど、このようなデザインらしい。アラファベットと数字のコン…
モントリオール3日目午後後半。建物は1990年と新しいが、設立は1860年と長い歴史がある。そのせいでもあるのか、いまひとつコレクションの方向性がわからない。いわゆる西欧古典近代絵画、いわゆる現代美術に加えて、カナダ関連のものと、人類学的な品々を持…
モントリオール3日目午後前半。聖ジョゼフ礼拝堂はカナダ国定史跡に選ばれており、そのドームはバチカンに次いで第2位の規模を誇るというが、建物全体にただよう妖しさは新興宗教の異様な熱気を思わせる。バジリカまでエスカレーターでいけるようになってい…
モントリオール3日目午前中。モン・ロワイヤルという小高い丘というか山に作られた公園を歩く。設計者は、ニューヨークのセントラル・パークなどを手掛けたフレデリック・ロー・オルムステッド。とはいえ、マンハッタンの真ん中に広がるセントラル・パークと…
モントリオール2日目まとめ。オールド・モントリオールにある2つの教会と、街の歴史を語る博物館に足を運び、5キロほど歩いた。 モントリオールの道はそこまできれいな碁盤の目を描かない。たしかに基本的には直線的な伸び方をしているけれど、ブロックの大…
モントリオール2日目午後後半。ノートルダム・ド・ボンセクール教会は、モントリオールへのフランス人入植の最初期に、女性解放(尼僧院の外へ)という理想を抱き、危険極まりない大西洋を7回も渡った修道女マルグリット・ブルジョワが建設したものである。…
モントリオール2日目午後前半。オールド・モントリオールはモントリオール発祥の場所ということもあって、歴史的に重要な建築物がひしめき合っているが、そのなかでも象徴的なのは、フランス語だと Pointe-à-Callière - Cité d'archéologie et d'histoire de…
モントリオール2日目午前中。ノートルダム大聖堂は入った瞬間に息を呑むような美しさに圧倒させられる。しかし、よく見ていくと擬古典風というか、近代が再現した中世という感じもしてくる。全体的に青みが強く、どこかエジプトで目にしたコプト教会を思い出…
モントリオール2日目朝の散歩。モントリオールは、東にあるセント・ローレンス川に沿うように広がっており、北東と南西を結ぶ大通りがふたつある。西寄りにあるのがサント・カトリーヌ通りで、東寄りにあるのがルネ=レヴェック通り。後者を2キロほど北上し…
モントリオール1日目。とりあえず滞在先のホステルの周りを少し歩いてみる。ダウンタウンのややはずれということもあり、昼間が賑わうオフィスビル街という感じ。車道が広いが歩道も狭くない。この感じはLAに似ている。その一方で、フラットな土地ではなく、…
空港案内はすべてが仏英併記で、アナウンスもフランス語に続いて英語が流れる。それにしても、成田の出国審査でもそうだったけれど、自動化が進んでいる。とはいえ、最終的には、お決まりの口頭でのやり取りがわずかにあった。Where are you from? What's th…
成田空港に来るのは何年ぶりだろうかというぐらいだけれど、久々に来て、アジア系言語がそこかしこから聞こえてくることに気がつく(付言しておくと、アジア系言語がわかるからではなく、自分が知っている西欧系言語の響きではないことと、視覚的情報を補っ…
外貨が必要かとも思いつつ、まったく現地通貨を持たないのも不安なので、多少両替すると、20カナダドル札と5カナダドル札を出してくれた。英仏併記なのは予想通りだが、紙幣といえば紙という思い込みがあったので、ホログラムのような部分が紙幣の中にあるこ…
「警部、ご覧のとおりです。すべてはただの茶番劇、それ以上でもそれ以下でもありません。[Er sieht, Herr Kommissar: das Ganze war halt eine Farce und weiter nichts.]」と、3幕のドタバタ劇のあと、デウス・エクス・マキナのような役割で登場した元帥…
20240303@静岡市美術館『高畑勲展——日本のアニメーションに遺したもの』は大変充実した展示だった。手書きのノートから絵コンテからイメージボードから原画まで、ポスターやちょっとしたインタビューやアニメーション映像まで、相当な点数があり、美術館が「…
Duolingoでロシア語を勉強し始めて1年が過ぎた。何が身に付き、何が身に付いていないのかを、ざっと書き出してみる。 +初級文法はおおむね理解した。格変化をすべてきちんと覚えたとは言わない。動詞の完了体(動作が完結し、その影響が現在も続いている)…
翻訳語考。equal は等号記号の「=」であり、数字的な意味での「同量」——twice 3 is equal to 6——を表すが、同時に、ひとつずつ足し合わせてピッタリ同じというよりも、トータルな意味での「同等」——we are equal——の両方をカバーしているように思う。つまり…
「生きづらさ」というワードに、英語を教える者として、引っかかるものがある。どのような英訳が妥当かが、いまひとつわからないのだ。「hard to live」は違うような気がするし、そもそもこれだと名詞化できない。かといって「difficult」を使って、「diffic…
20231209@静岡音楽館AOI濱田芳通指揮、アントネッロ、モンテヴェルディ『聖母マリアの夕べの祈り』 宗教を信じない者が西欧クラシック音楽の本丸とも言うべき宗教曲を聞くことの矛盾を、昔からずっと感じていた。だから、いわば世俗的な人間劇を前面に押し出…
魔女絵には、若き美女と、醜い老婆の、ふたつの系譜があるという指摘にまずハッとさせられるが、読み進むほどに、はたして両者を「魔女」というワードでくくることが妥当なのだろうかという気もしてくる。本書は西洋美術における魔女表象を、100頁ほどのコン…
20231123@静岡芸術劇場「カフェシンデレラ」 「『ばらの騎士』サロン 制作部座談会」に行ってきた。「制作部」というのが、そもそも、いまひとつよくわからない。「文芸部」もわからないといえばわからないけれど、こちらはなんとなくながら、SPACの芸術的な…
あなたはもう、じゅうぶん知っている。私も知っている。欠けているのは知識ではない。私たちに欠けているのは、知っていることを理解し、結論を導き出す勇気だ。(11頁) 旅行記とノンフィクションと文芸批評のフュージョン。1932年生まれのスウェーデン作家…
Duolingo でのロシア語学習が300日の大台に乗ったけれど、このところ停滞気味。格変化のある言語を用例のみから帰納していくのはやはり難しい。というよりも、Duolingo のやり方だと、名詞の性(男性中性女性)がそもそもうまく認識できない。 と書きながら…
多田淳之介の演出についてのいくつかの覚書。 *多田の演出をあえて挑発的に「貧しい演劇」と呼んでみたい。演出が質的に貧困だというのではまったくない。そうではなく、圧倒的に不十分な量しか与えられていないリソースをいかにして最大限活用し、最大限の…
人名は本当に困る。George Romanes(1848‐94)という進化生物学者がいる。ダーウィン(1809‐82)より40歳近く若い Romanes は、晩年期のダーウィンのリサーチ・アシスタントを務めたばかりか、未出版の原稿を託されるほど、ダーウィンから信頼されていた。ハ…
Duolingo でロシア語学習を始めて275日になったけれど、身についているような、身についていないような。 作業ゲー的な反復作業なのだ。脊髄反射的に4択のなかから正解を選ぶような設計になっている。いや、こう言ったほうが正確だろうか。意識的に記憶する…