モントリオール2日目午前中。ノートルダム大聖堂は入った瞬間に息を呑むような美しさに圧倒させられる。しかし、よく見ていくと擬古典風というか、近代が再現した中世という感じもしてくる。全体的に青みが強く、どこかエジプトで目にしたコプト教会を思い出した。ともあれ、この大聖堂が建てられたのは1829年とのことだから、この印象は外れてはいないだろう。
壁を取り囲むステンドグラス(こちらは大聖堂建築100周年を記念してのものだという)は、顔部分だけ妙に写実的だが、これは実在の人物を反映してのことだろう。その一方で、壁画は伝統的な宗教画の慣習にのっとって描かれているようであり、どこかチグハグな印象もある。
裏手にある礼拝堂にはモダンなブロンズの祭壇彫刻があるところが、この大聖堂の近代性を象徴しているようでもある。
面白いことに、キャンドルを捧げるのにクレジットカードで支払えるように、カードリーダーが取り付けられていた。いまはこれがスタンダードなのかもしれない。夜には内部をライトアップするショーがあるとのことだが、閲覧料が30だったか40だったかする。商魂逞しい。
(日本人は見かけなかったけれど、入口の有料パンフと冊子ーーそれぞれ2ドルと5ドルーーには日本語版があったばかりか、日本語版の冊子が面見せで置いてあったということは、わりと日本人観光客が来る、または、来ていたということなのだろう。しかし、アジア系のなかでよく見かけたのは、中国や南アジア(インドあたり?)からの観光客であった。)
とはいえ、このような空間で鳴り響く声、パイプオルガンの音は、さぞ天上的なものに聞こえるだろうと思う。教会を一大スペクタクル装置と捉えるなら、ここで行われていることはすべてとくに不思議がることでもないのかもしれない。