うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

20231115 Duolingo でのロシア語学習が300日の大台に乗った。

Duolingo でのロシア語学習が300日の大台に乗ったけれど、このところ停滞気味。格変化のある言語を用例のみから帰納していくのはやはり難しい。というよりも、Duolingo のやり方だと、名詞の性(男性中性女性)がそもそもうまく認識できない。

と書きながら、ロシア語の名詞の性や格変化を用例のみから理解するのが難しいのは、ロシア語に冠詞がないからかもしれないということに気がついた。フランス語なら、un-le、une-la、des-lesという冠詞から名詞が2つのグループに分かれ、複数形ではそれがひとつにまとまることは、まだ理解できそうな気はする。英語を学び始めてから、冠詞は厄介なものという意識をずっと持っていたけれど、ここに来て初めて、弁別記号としての冠詞のありがたみをしみじみと感じている。

(そういえばラテン語に冠詞はあるのかと思って Wikipedia を見たら、ないそうだ。面白いことに、西ヨーロッパ言語には冠詞があり、スラヴ語派には冠詞がないらしい。以下の地図が非常に面白い。)

 

ja.wikipedia.org

 

ロシア語をとおして、英語のいわゆる状態動詞と動作動詞の区別、現在形と現在進行形の区別にたいして、以前よりも敏感になってきた。時制の切り分け方が言語によって異なるというのは、中学で英語を学び始めたときにはとくに感じなかったし、大学でフランス語をやったときも、アメリカの大学院で学部生対象のドイツ語の授業に出ていたときも、とくには感じなかった。しかし、ロシア語学習をとおして、時間体験はかなり言語依存的ではないかということに、あらためて思い至っている。

スラヴ系であれロマンス系であれゲルマン系であれ、西洋語の音は音節を最小単位とするものであり、各音節の発音こそ言語によって異なるものの、一般的な発音ルールについては、言語横断的なところがあるようだ。たとえば、英語の過去形の -ed は基本的には「ッド」と濁音(有声音)になるが、その前が無声音の場合、濁らない。似たようなルールはロシア語にもあり、だからこそ、語末の v (ヴ)は f (フ)になる。どうやらどの言語も、エコノミー(エネルギーの節約)が基本にあるらしい。楽に言える言い方がスタンダードになる。

モノリンガル(言語ひとつだけ)からバイリンガル(ふたつの言語)に移行するハードルは高いが、バイリンガルからポリグロット(複数の言語)への旅はそれほど困難ではないように思う。もちろん、複数の言語に手を出してそれがすべてものになるとは思わないけれど、ひとつ別の言語をある程度のレベルまで修めることによって、そこからさらに言語的な冒険に乗り出すことが容易になる部分はあるのではないだろうか。