うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

20240130 Duolingoでのロシア語学習が1年突破。

Duolingoでロシア語を勉強し始めて1年が過ぎた。何が身に付き、何が身に付いていないのかを、ざっと書き出してみる。

 

+初級文法はおおむね理解した。格変化をすべてきちんと覚えたとは言わない。動詞の完了体(動作が完結し、その影響が現在も続いている)と不完了体(結果ではなく反復や継続にフォーカス)、不完了体の定動詞(一定方向の運動)と不定動詞(反復運動)にしても、ざっくりとしかわかっていない。仮定法にしても、形容詞的分詞や副詞的分詞(英語で言うところの現在分詞や過去分詞)にしても、なんとなくの理解でしかない。それでも、ひとまず、主要文法概念はさらえたと思う。

+リスニング力はそれなりに上がった。同じ例文が繰り返されるからというのもあるけれど、以前であれば聞き取ることができなかった前置詞が、だいぶわかるようになってきた。聞き取れているというよりも、そこに前置詞が「ある」というのが、実音というよりもリズム感のレベルで実感できるようになってきた。

+単語のアクセントの感覚が、なんとなくわかってきた。どの音が伸びるのがロシア語にとっての自然なのかが、おぼろげながら、感じられるようになってきた。

+センテンスのイントネーションについては、まだまだ腑に落ちない部分もあるけれど、それなりに納得できるようにはなってきた。このあたりは、同じような文例を嫌と言うほど反復して聞いたり口にしたりしているおかげだろう。

 

ーしかし、Duolingoはつねに選択式というか、与えられた選択肢からピックアップしていく形式がデフォルトなので、単語や活用の理解が曖昧になりがちではある。「このなかでは、これ以外はありえないから、これか」というように、消去法で選べてしまう部分が大きいため、細部が詰め切れていないところがある。

ー活用についても同じことが言える。そこまで紛らわしい選択肢が出てこないので、男性女性中性、単数複数の格変化の違いが、受動的にしか頭に入っていない。

ーフランス語やドイツ語はちょっと長めの対話のようなものがあるのに、ロシア語にはない。そのせいもあって、Duolingoを介して自分が学んだロシア語は単文でしかない。ここから長文読解に進むには、自主的な飛躍が必要になるだろう。

 

というわけで、まとめ。

*Duolingoはアプリゲームのような語学学習という設計なのだと思うけれど、これは良くも悪くも真実だ。楽しく学べる部分はあるし、ポイントをためたり、他のユーザーとポイントを競ったりと、射幸性や競争心を煽るようになっており、動機付けという意味では非常に上手い。しかしこれはあくまで語学学習の「入口」であって、それ以上ではない。

*こう言ってみてもいい。Duolingoは長文を読んだり聞いたりすることに自動的にはつながっていかない、と。Duolingoが提供するのは、つまるところ、初級文法でしかないのだ。そして、「その次」を示してくれない。

*与えられた選択肢を並び替えることで問題に回答するDuolingoの設計は、おそらく、ライティングよりはスピーキング向きだろう。Duolingoである程度書けるようになるには、デフォルトになっている選択肢並び替えではなく、自分で単語をタイプする形式で回答しなければならないだろう(しかし、それをやるとなると、アプリゲームとしてはちょっとハードルが高すぎるところもある)。

*そろそろDuolingoから離れて、初級文法レベルで読めるものを読んでいくべきなのだと思う。そのあたりをDuolingoがフォローしてくれるといいと思うのだけれど、そういうアプリではない。

 

今年は、アラビア語の綴りがとりあえず見てわかるようになろうと思って、アラビア語の勉強を始めた。やはり、書記体系の違う言語に馴染むという意味では、Duolingoは極めて役に立つ。