うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章

アメリカ観察記断章。経済階級による縦割りのアメリカ、趣味による横割りの日本。

アメリカ観察記断章。アメリカで個は集団(的価値)に従属することを必ずしも要求されない。各々が好きなものを好きなように追求する余地が確保されているように思うし、他人と違うことをすることが体感できるかたちで報われる。たとえば自分のようにつねに…

アメリカ観察記断章。アメリカの学生の顔。

アメリカ観察記断章。アメリカの学生の顔には何か強い光がある。イケメンブサイクという美醜について言えば、カリフォルニアの学生たちはとりたてて見目麗しくない。女の子もあまり濃い化粧をしていないので、かなりのところまで素の輪郭が目に見える。そう…

アメリカ観察記断章。アメリカンドリームという神話の残存。

アメリカ観察記断章。先の表情が読めなくて怖いと言った学生はものすごく熱心な子で、毎回授業の後にいろいろ質問をしてくれるので、こちらとしても嬉しくて、できるかぎり誠実に返答しようと心がけている。彼女は中東からの移民第二世代で、彼女の家庭のな…

アメリカ観察記断章。明確な指標としての表情。

アメリカ観察記断章。先日授業のあと学生が書きかけのドラフトにコメントして欲しいというので「かまわないよ」と答えて読み始める。少しして学生がおもむろに、I'm scared because your face shows no expression and I can't read from your face what you…

アメリカ観察記断章。有償のサービスと無償の権利。

アメリカ観察記断章。エドワード・スノーデンがあるインタビューで「隠すものなどないから見せても構わない、というのは、権利を放棄するのと同じことだ。プライバシーは権利なのだから、我々はそれを正当化する必要などない。正当化しなければならないのは…

アメリカ観察記断章。トラブルを避ける術としての最低限のコミュニケーション。

アメリカ観察記断章。現代日本の都市空間で見ず知らずの人(そしてこのさき継続的かつ親密な関係を持つ可能性がほとんどない人)とコミュニケーションをとろうとする人は稀だろう。駅のホームだとかスーパーのレジだとか、そういう場所でアカの他人といきな…

アメリカ観察記断章。季節のリズムを決めるイベント。

アメリカ観察記断章。南カリフォルニアで買い物をしていると季節の移り変わりをつかむことが難しい。同じラインナップの野菜が一年中棚に並んでいるからだ。もちろんこれは今の日本でも同様かもしれない。しかし日本の場合、それでも、たとえば冬になると葉…

アメリカ観察記断章。和製英語の正しい英訳。

アメリカ観察記断章。英語を話していて微妙に困るのは、和製英語の正しい英訳が思いつかないときかもしれない。とはいえ和製英語であると気づけるのはまだいいほうで、長らく英語であると信じて疑わなかったものが実は和製英語なのだとわかって驚くことも少…

アメリカ観察記断章。ユニオン。

アメリカ観察記断章。秋学期がやっとスタートした。今年度はなぜか例年より一週間ほど始まりが遅く、すでに10月になっている。それに合わせて今週の火曜にCompositionのスタッフミーティングがあり、それに参加する。朝9時開始、昼食休憩を挟み、3時半まで続…

アメリカ観察記断章。ユニクロ開店。

アメリカ観察記断章。近所にある南カリフォルニアでも有数の巨大ショッピングモール「サウス・コースト・プラザ」にユニクロが出店したというので、見に行ってきた。ここは超高級ブランドから庶民ブランドまで、服飾からキッチン用品まで、幅広く揃っている…

アメリカ観察記断章。メソッドの教育。

アメリカ観察記断章。アメリカの教育が「個性」なるものを偏重していることは間違いない。彼女ら彼らは何かにつけて自分流でやりたがる傾向にある。しかし、アメリカ的教育に規律的な押しつけがないわけではないだろう。それどころか、方法論的なレベルでは…

アメリカ観察記断章。美学のない食の多様さ。

アメリカ観察記断章。アメリカの食文化に貧しいところがあるのは否定できない。根本的なところで食に美学がないのだ。だから日本のデパチカなら透明のプラスチックに綺麗に盛り付けるところを、密閉式の紙箱に無造作に放り込んでしまう。とはいえ、カリフォ…

アメリカ観察記断章。土曜午前の日本語学校のボランティア。

アメリカ観察記断章。相変わらず土曜日午前中は日本語学校のボランティアをしている。そして、日本語の数の数え方がいかにトリッキーであるかを思い知らされている。たとえば、17は「じゅうなな」でも「じゅうしち」でもいい。しかし77は、「ななじゅう…

アメリカ観察記断章。日系ビジネスのアルファベット使用。

アメリカ観察記断章。アメリカにはエスニックスーパーが数多く存在していて、ある特定の客層(だけ)をターゲットにしている。中国系は中国系の人々を、韓国系は韓国系の人々を、というわけだ。日系スーパーも例外ではないが、ここには微妙な差異もある。注…

アメリカ観察記断章。台湾系のスーパー。

アメリカ観察記断章。台湾系のスーパーに行ってきた。それはいわば、アメリカ内部にある外国で、店内放送に英語が混ざっていなかったら、どこにいるのかと自問せずはいられないような場所である。石川啄木は故郷の訛りが聞きたくて停車場に足を運んだが、カ…

アメリカ観察記断章。経済的棲み分けとしての多文化共存。

アメリカ観察記断章。南カリフォルニアが多文化的であることは間違いない。それは学生の顔ぶれや名前を見えれば一目瞭然である。そこではさまざまなものが混ざりあっていて、ルーツに遡ればアイデンティティが確定できるという考え方はまったくナンセンスだ…

アメリカ観察記断章。シーチキンではなくツナ缶。

アメリカ観察記断章。日本で売っている「シーチキン」は「オイル漬け」が一般的だと思うがーーWikipediaによれば日本でも水煮は売っており、シーチキンは静岡に本拠を置く「はごろもフーズ」が商標登録しているとのこと。静岡県民なので子供のころから「ドラ…

アメリカ観察記断章。お世辞について。

アメリカ観察記断章。お世辞について。これが英語的なものかアメリカ的(カリフォルニア的?)なものかはわからないが、日本で教科書から英語を学んだ身としては、人を褒めるための語彙が不足していると感じるときがよくある。もちろんそういう表現で使われ…

アメリカ観察記断章。Ivory Coastと象牙海岸とコートジボワール。

アメリカ観察記断章。隣町のこじゃれたショッピングモールにあるコーヒーショップで5時間ほどかけて期末試験の採点をどうにかこうにか終わらせた後、ブックオフに立ち寄ると、めずらしく、音楽ではなく音声がスピーカーから聞こえてきた。今日ワールドカップ…

アメリカ観察記断章。Organic?

アメリカ観察記断章。アメリカのスーパーでは、高級なところもそうでないところも、organicとそうでないものの両方が並んでいる。値段は当然ながらorganicのほうが若干割高だ(スピナッチの場合、organicは一袋2,5ドル、そうでないと1,8ドルくらい)。では、…

アメリカ観察記断章。「米国高校生による日本語スピーチコンテスト全米大会」なるもの。

アメリカ観察記断章。先日うちの大学で「第11回米国高校生による日本語スピーチコンテスト全米大会」なるものがあったので聞きにいった。以下はその覚書。 ◯「全米大会」とはなっているが、参加者14人の大半はカリフォルニアからで、次いでアラスカ、テキサ…

アメリカ観察記断章。土曜日午前中の日本語学校でのボランティア。

アメリカ観察記断章。土曜日午前中の日本語学校でのボランティア。なぜかこのごろは習字を教えている。書道歴8年ブランク18年の腕の見せ場だが、気張ってお手本を書いてもあまり意味がないことに気づく。アジア圏(と言ってよいと思う)において、「まなび」…

アメリカ観察記断章。考え方の癖。

アメリカ観察記断章。学生レポートを採点していて常々思うのは、考え方の癖とでもいうようなものがアメリカと日本でまったく異なっていることだ。アメリカ人は「善か悪か」で考える傾向にあるようにみえる。「自分が善、それ以外は悪」という断定的なスタン…

アメリカ観察記断章。好かれるか嫌われるかの非ネイティヴ英作文教師として。

Student evaluations show that my sections were either liked or disliked with a very thin layer of the middle position. I think I earned this mixed feedback for good reasons. I'm not a person who'd be loved by everyone and I even feel this …

アメリカ観察記断章。所与のパラメーターとしての体の色。

アメリカ観察記断章。人種によって肌や瞳や髪の色、輪郭や彫りの深さのあいだには異なった相関関係があり、その組み合わせは限定的である。それが直感的にわかるようになってきたせいだろう、先日、金髪に染めているアジア系の男子を見てものすごい違和感を…

20140403 UAW 2865 Strike

雇用契約や不当な労働条件に抗議するためUC全体におよぶストライキが打たれた。他のキャンパスでは昨日今日と二日がかりのところもあるが、うちでは今日のみ。とはいえ、どれだけのTAやファカルティーがストに入っているかは不明。見張り役のキャンパスポリ…

アメリカ観察記断章。スーパーのパン。

アメリカ観察記断章。袋詰めになったパンの多数派は日本で言うところのサンドイッチパンに近い薄さと大きさだけど、アメリカのスーパーで売っているパンの種類はもっと豊富だ。それは、ハイエンドであろうとローエンドであろうとアメリカのスーパーにはパテ…

アメリカ観察記断章。スーパーでよく売っている安価なパン。

アメリカ観察記断章。スーパーでよく売っている安価なパンは、10センチ四方で16枚切り程度の厚さ、一斤の1.5倍くらいの長さの袋詰めだろう。安いもので1.99ドル程度。これも漂白した小麦で作った白いパン、無漂白の小麦で作った茶色いパンが必ずあり、そこ…

アメリカ観察記断章。小麦粉の種類。

アメリカ観察記断章。このところパンを手作りしているのだが(といっても捏ねないで長時間発酵させるお手軽なパンだけれど)、スーパーで売っている小麦粉の区分がおもしろい。日本ならだいたいどこでも薄力粉中力粉強力粉がどれも揃っているものだが、アメ…

不思議な贈り物

I was in Fashion Island. When a family (parents and two kids, I guess) passed by me, a younger kid held up something like a gift card to me. For a moment I hesitated. But he kept the left hand raised, saying nothing. He had a few more card…