うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。季節のリズムを決めるイベント。

アメリカ観察記断章。南カリフォルニアで買い物をしていると季節の移り変わりをつかむことが難しい。同じラインナップの野菜が一年中棚に並んでいるからだ。もちろんこれは今の日本でも同様かもしれない。しかし日本の場合、それでも、たとえば冬になると葉物が、夏になるとキュウリやナスが安くなって売り場でも目につくようになるだろう。アメリカのスーパーにはこうした「旬」を思わせる指標が欠けている。まあ、正確に言えば、芽キャベツとかアーティチョークのような季節商品はあるにはある。しかし、それはあくまで臨時の付け足しで、売り場全体の構成を揺るがすほどのインパクトはない。こうした抑揚のないアメリカのスーパーで季節を思わせるのは、旬ではなく、イベントである。たとえばハロウィン。10月になるとスーパーには一斉にかぼちゃが並ぶようになる。大きいのやら小さいのやら、オレンジのから緑色のまで、さまざまだ。ここ数年は日本でいう南瓜(Kabocha Squash)も店頭に並ぶようになってきている(もしかしたらずっと前からあったのかもしれないが、このところ、とくに目につくようになってきた)。アメリカにおけるハロウィンのビジネスチャンスはかなりはかりしれない。多種多様な期間限定食品が現れ、とにかくいろんなものがカボチャになる。カボチャスープ、カボチャクランチバー、カボチャパイ、カボチャアイス、カボチャを使ったお菓子の材料、などなど。パンプキンパイのための特別なスパイスまであるのだから恐れ入る。