うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2014-01-01から1年間の記事一覧

「芸術」を私物化する(ストッパード『トラヴェスティーズ』)

"TZARA: Nowadays, an artist is someone who makes art mean the things he does." (Stoppard. Travesties.) 「ツァラ 芸術とはわたしのやっていることだ、と芸術に言わせることができる者が、今日、芸術家となる。」(ストッパード『トラヴェスティーズ』)

完全で普通で並外れた男(チャンドラー「殺人という単純な芸」)

"He must be a complete man and a common man and yet an unusual man." (Chandler. "The Simple Art of Murder.") 「彼は完全な男で、普通の男で、しかし並外れた男でなければならない」(チャンドラー「殺人という単純な芸」) ホイットマン的なだろうか…

アメリカ観察記断章。ユニオン。

アメリカ観察記断章。秋学期がやっとスタートした。今年度はなぜか例年より一週間ほど始まりが遅く、すでに10月になっている。それに合わせて今週の火曜にCompositionのスタッフミーティングがあり、それに参加する。朝9時開始、昼食休憩を挟み、3時半まで続…

フィリップ・マーロウより年上になっている自分に気づく

UCI

I was shocked to find that I'm older than Philip Marlowe. of course the attraction of Chandler for me is neither the plot nor sex and violence. i enjoy the plot as some sort of sociological case study. but what truly draws me to Chandler i…

命の酒(アポリネール「ゾーン」)

"Et tu bois cet alcool brûlant comme ta vie/ Ta vie que tu bois comme une eau-de-vie" (Apollinaire. "Zone.") 「そしてお前は燃えるような酒を自分の命のように飲み/自分の命をお前は飲む、命の水と呼ばれる蒸留酒のように」(アポリネール「ゾーン」…

アメリカ観察記断章。ユニクロ開店。

アメリカ観察記断章。近所にある南カリフォルニアでも有数の巨大ショッピングモール「サウス・コースト・プラザ」にユニクロが出店したというので、見に行ってきた。ここは超高級ブランドから庶民ブランドまで、服飾からキッチン用品まで、幅広く揃っている…

アメリカ観察記断章。メソッドの教育。

アメリカ観察記断章。アメリカの教育が「個性」なるものを偏重していることは間違いない。彼女ら彼らは何かにつけて自分流でやりたがる傾向にある。しかし、アメリカ的教育に規律的な押しつけがないわけではないだろう。それどころか、方法論的なレベルでは…

気まぐれの理由(ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』)

"What we've got to learn is why this particular impresario decided to indulge in silly theatricals." (Van Dine. The Bishop Murder Case.) 「われわれが理解しなければならないのは、この興行主がばかばかしい芝居にのめり込む気になった理由だ。」(…

不自由を選ぶ自由の禁止(J・S・ミル『自由について』)

"The principle of freedom cannot require that he should be free not to be free." (J.S.Mill. On Liberty.) 「自由の原理にも要求できないことがある。不自由を選ぶ自由である。」(J・S・ミル『自由について』)

アメリカ観察記断章。美学のない食の多様さ。

アメリカ観察記断章。アメリカの食文化に貧しいところがあるのは否定できない。根本的なところで食に美学がないのだ。だから日本のデパチカなら透明のプラスチックに綺麗に盛り付けるところを、密閉式の紙箱に無造作に放り込んでしまう。とはいえ、カリフォ…

自分に影響を与えた10冊

UCI

I included narratives only and excluded Japanese texts. This list shows less my taste as a whole than a history of reading from childhood to this date. These are the books and authors that occupy peculiar places, invinting me to try differ…

率直な批判という心からの愛(モンテーニュ「経験について」)

"A man had need have sound ears to hear himself frankly criticised; and as there are few who can endure to hear it without being nettled, those who hazard the undertaking it to us manifest a singular effect of friendship; for 'tis to love …

おかしな夢

UCI

最近よくおかしな夢を見る。夢は映像的でほとんど言語的ではなく、鮮明さとピンボケが同居している。今日見た夢はまったく破天荒だった。 曲がりくねってはいるが路肩がないので見通しは悪くない車線の広いきれいに舗装された山道で昼間に車を走らせていると…

青ざめた宇宙のかけらの石ころ」と「論理の豊満」(西脇順三郎)

「青ざめた宇宙のかけらの石ころも/眼をつぶって夏のころ/乞食が一度腰かけたぬくみを/まだ夢みているのだ」(西脇順三郎「《秋の歌》」) 「近代人の憂愁は/論理の豊満からくるのか」(西脇順三郎「哀」)

アメリカ観察記断章。土曜午前の日本語学校のボランティア。

アメリカ観察記断章。相変わらず土曜日午前中は日本語学校のボランティアをしている。そして、日本語の数の数え方がいかにトリッキーであるかを思い知らされている。たとえば、17は「じゅうなな」でも「じゅうしち」でもいい。しかし77は、「ななじゅう…

新しい運転免許証

UCI

Today a new driver license was malied to me, though I haven't yet passed the driving skills test which is scheduled on August 21st. I've been hoping this should happen, because it's definitely a DMV's mistake that I was asked to take both …

自分と世界とのあいだのあの違和感(江藤淳「文学と私」)

「私はただ書き、自分が書いていることをいくらかは恥じ、書くことがなくなれば書くのをやめるであろう。しかし自分と世界とのあいだのあの違和感が存在しつづけるかぎり、そして自分にどんな逃げ場所もないことが明白なかぎり、私はやはり書きつづけるであ…

アメリカ観察記断章。日系ビジネスのアルファベット使用。

アメリカ観察記断章。アメリカにはエスニックスーパーが数多く存在していて、ある特定の客層(だけ)をターゲットにしている。中国系は中国系の人々を、韓国系は韓国系の人々を、というわけだ。日系スーパーも例外ではないが、ここには微妙な差異もある。注…

あはれなことが多すぎて(吉本隆明「<手形>」)

「このしづかな街では/あはれなことが多すぎて/おまへはそのひとつひとつに/不幸な想像をはたらかせる」(吉本隆明「<手形>」) "In this quiet city are/ So many triste things/ By each of which your/ Unhappy imagination is stirred" (Takaaki Yo…

アメリカ観察記断章。台湾系のスーパー。

アメリカ観察記断章。台湾系のスーパーに行ってきた。それはいわば、アメリカ内部にある外国で、店内放送に英語が混ざっていなかったら、どこにいるのかと自問せずはいられないような場所である。石川啄木は故郷の訛りが聞きたくて停車場に足を運んだが、カ…

アメリカ観察記断章。経済的棲み分けとしての多文化共存。

アメリカ観察記断章。南カリフォルニアが多文化的であることは間違いない。それは学生の顔ぶれや名前を見えれば一目瞭然である。そこではさまざまなものが混ざりあっていて、ルーツに遡ればアイデンティティが確定できるという考え方はまったくナンセンスだ…

週刊少年マガジン

UCI

大学図書館のイーストアジアセクションの開架部分に週刊少年マガジンが創刊号から1997年まで揃っていた

自分の眼で見たことを自分でいう(江藤淳『表現としての政治』)

「政治的実行に情熱を見出す人は、道徳をすてて革命にでも保守派の権力闘争の只中にでもおもむくがいい。しかしそれに耐えられぬ人は、粗末にして来た思想とか学問とかいうものをもう少し大切にするがいい。ものの役に立つ思想などという既製品がそこらへん…

信仰ではなく試行錯誤を(江藤淳『表現としての政治』)

「ただ私は、無謬を僭称するイデオロギーにゲタをあずけた人間の「安全」な自己欺瞞よりは、不完全な自分の目のもたらす「危険」な試行錯誤を選ぶというだけだ。…民主主義という政治秩序は…価値の相対性、あるいは多元性の感覚をお互いに認めあうところにし…

文学を志すことは一つの事件である(吉田健一『東西文学論』)

「真面目に文学を志すということ自体が(と言っても、原稿を書いて金にすることが文学になっている今日では、簡単には解らないかも知れないが)、一つの事件である以上、それだけの事件の原因となるものも一つの事件でなければならない。何か異質なものが体…

運転免許のための「勉強」のつまらなさ

UCI

I'm going to take a written test to renew my driver license. And it's extremely boring and tiring to study for it. I don't remember when is the last time I did this sort of "study" (memorizing somewhat arbitrary rules and numbers by heart-…

くじによる選出(柄谷行人『トランスクリティーク』)

"Organization for any counteraction against state and capitalism must introduce within itself the device of introducing contingency in the magnetic power center." "...what is preferable to us would be to choose the most crucial post by lot…

反動的な夜

UCI

鼻風邪に悩まされメイドインUSAの安い日本酒をあおり吉本隆明に読みふける反動的な夜

自分ばっかり正しいと思いこんでいる人たち(吉本隆明・糸井重里『悪人正機』)

「自分だけがストイックな方向に突き進んでいくぶんにはかまわないんですけど、突き詰めていけばいくほど、他人がそうじゃないことが気にくわねえってのが拡大していきましてね。そのうち、こりゃかなわねえってことになるわけですよ……「清貧の思想」とか、…

無主語の気軽な憎悪の発動(森達也・姜尚中『戦争の世紀を越えて』)

「森 一人称であるはずの主語が、「うち」とか「我々」とかの複数名詞になり、そうなると当然ながら述語は暴走する。「許さない」とか「恨みを晴らせ」に短絡するんですね……大切なことは、一緒になって「許せない!」とか「被害者の痛みを知れ!」と声を張り…