うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2013-01-01から1年間の記事一覧

アメリカ観察記断章。握手の文化。

アメリカ観察記断章。握手の文化。昨日、オフィスアワーの最中に学生がひとりやってきた。10分ほど対話。部屋を去る前に学生が握手を求めてきて「おやっ」と思った。日本的文脈だと握手はかなり特別な所作だろう。握手は有名人などとするもので、友達同士…

アメリカ観察記断章。利き腕でないほうの手の不器用さ。

アメリカ観察記断章。利き腕でないほうの手の不器用さ。相変わらず週一で日本語学校でのボランティアを続けている。毎週ほんの3時間ちょいだけれど、子供たちとこういうふうに定期的に顔を突き合わせるのは本当に初めてのことだ。そしてこの先の自分の人生…

幻聴

UCI

幻聴に聞く蝉の音か

学ぶ意志、議論する意志

UCI

Is the will to discuss as voluntary as the will to learn? There are always a few students, the same ones, who are uninterested in group discussions. Maybe they are shy. Maybe they don't know peers around them well enough to dare to talk to…

強いられた無為の苦痛(「ゾラ」、『アイドラー』誌)

"Enforced idleness would mean misery to him." (""Lions in Their Dens." VI.--Emile Zola" in The Idler Magazine, June 1893) 「彼にしてみれば、強いられた無為は苦痛を意味するのだろう。」(「「虎穴の虎たち」VI. エミール・ゾラ」、『アイドラー』…

アメリカ観察記断章。文法とレトリック。

アメリカ観察記断章。アメリカ留学生活の1/4くらいは教育に費やしてきたと思う。TAをやることを通して学んだことは多い。今日、学生レポートの採点をしていて気づいたのは、英語の文語には難易度の高い文法的表現があるということだ。仮定法、接続法、込み入…

句読点の打ち方の知らなさ

UCI

This quarter many student writings show that they don't know where to put commas, or even, how to use them. Does this lack of punctuation have something to do with their text-messaging habit? I'm seeing some sea-changes in their writing pa…

学生の過大な要求

UCI

Certainly students don't know how extravagant things they're requesting when they send me drafts in this late morning of the due date, asking quick feedback on them. And they shouldn't know that I'm writing responses in drinking beer and w…

コメント入れと成績付けの違い

UCI

My problem is that I indulge in writing sadistic comments on students' rough drafts, while I can't grade their final papers in the same way. Indeed, I imagine how much lighter the workload would become if I were exempt from giving letter g…

怠けている学生にたいする熱心さと冷淡さ

UCI

I'm finding that I have no feeling for lazy students who come to a class without finishing the reading and I'm nevertheless compelled to feel that I must explain it for them. This is what occurred to me today. And I did so with passion and…

アメリカ観察記断章。規格の差。

アメリカ観察記断章。規格の差。日本がセンチメートルとグラムなのに対して、アメリカがインチとパウンドであることは誰でも知っていると思うが、違いはそれだけにとどまらない。たとえば紙のサイズが違う。日本のA4はアメリカのletter sizeに近いが、後者の…

アメリカ観察記断章。「They don't appreciate this!」

シリアルのコーナーに子供連れの母親がやってきた。ショッピングカートにはすでにシリアルの箱が入っているのに、子供はさらに3つ、4つ持ってくる。「一週間でそんな食べられるわけないでしょ。戻してきなさい」子供をせかして商品を棚に戻しにいく母親。…

アメリカ観察記断章。フュージョンされるアジア。

アメリカ観察記断章。ふと立ち寄ったショッピングモールの駐車場で、スローフードやローカルフードをプロモーションするこじんまりとしたイベントが開催されていた。とはいえ、フードトラック(バスを改造した移動式屋台)が来ていたり、いろいろなブースが…

微妙なニュアンスをわかってもらえるはずだという安心感(ルース・ベネディクト『菊と刀』)

「日本人特有の問題は、彼らは、一定の掟を守って行動しさえすれば、必ず他人が行動の微妙なニュアンスを認めてくれるに違いない、という安心感をたよりとして生活するように育てられてきたということである。外国人がこれらの礼節を一切無視しているのを見…

従うことに現れる力(ルース・ベネディクト『菊と刀』)

"Westernesr are likely to feel it is a sign of strength to rebel against conventions and seize happiness in spite of obstacles. But the strong, according to Japanese verdict, are those who disregard personal happiness and fulfill their obl…

学生の手書きを解読できなければならない

UCI

The first thing I have to learn this quarter is definitely how to decipher students' handwriting.

アメリカ観察記断章。アメリカ人のペンの持ち方がでたらめな理由。

アメリカ観察記断章。アメリカの子供たちがひらがなカタカナ漢字を練習するのを眺めていたらアメリカ人のペンの持ち方がでたらめな理由がなんとなく見えてきた気がする。日本語はさまざまなニュアンスを要求する。太い線と細い線、速い線と遅い線、曲線と直…

生成変化する多数性としての現働性=無限性(ワーグナー、アウグスト・ルッケルへの手紙)

"...the essence of reality-actuality [Wirklichkeit] consists of infinite multiplicity [Vielheit]. This inexhaustible multiplicity, incessantly renewed and renewing, can only be apprehended by feeling, as the one ever-present though ever-va…

アメリカ観察記断章。小学生男子のおちつきのなさに国境はない。

アメリカ観察記断章。引き続き日本語学校の手伝いをする土曜の午前。小学生男子のおちつきのなさに国境はないらしい。それから、バカっぽいことに熱中するありさま。そのなかでもいちばんおどろいたのは、まぶたをひっぱってひきあげてひっかけ、まぶたのう…

e-mailと携帯メールのちがいを教えなければならない

UCI

Maybe the first thing I have to teach this quarter is the difference of texting a message and writing an email.

無神論の問題としての社会主義(ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』)

"For socialism is not merely the labor question, it is before all things the atheistic question, the question of the form taken by atheism today, the question of the tower of Babel built without God, not to mount to heaven from earth but t…

アメリカ観察記断章。現代アメリカと宗教。

アメリカ観察記断章。現代アメリカでどこまで宗教が影響力を保ちきれているか、それは若者の集まる公立大学という明示的に世俗的な機関にいるとどうしてもピンとこないが、コミュニティ・ライフというもっとベタでローカルな点からすると、宗教的施設は依然…

アメリカ観察記断章。日本語を学ぶアメリカの子供たちを見て思ったこと(続き)。

アメリカ観察記断章。日本語を学ぶアメリカの子供たちを見て思ったこと(続き)。近代日本語の「言文一致」は実は相当に複雑で、不一致は依然としてそこかしこにある。たとえば、「は」と「わ」(音では「こんにちわ」であれど、「こんにちは」と綴られねば…

アメリカ観察記断章。悪戦苦闘しながら日本語の書きとりをする日系の子どもたち。

アメリカ観察記断章。英語がネイティヴの子供にとって、漢字ひらがなカタカナは図形にしか見えないのだろう。人が文字を書くのを見る機会が少ないうえ、印刷された文字を元にして学ぶからではないかと思うけれど、筆勢とか筆圧とか筆の流れという感覚がすっ…

哲学と/してのホームシック(ノヴァーリス)

"Philosophy is actually homesickness--the urge to be everywhere at home." (Novalis)「哲学とは実のところホームシックのことである――どこでもホームであろうとする衝動。」(ノヴァーリス)

天賦の才にたいする要求と期待(シュレーゲル)

"You should demand genius from everyone, but not expect it." (Friedrich Schlegel)「どんな人も天賦の才を持っていないはずがないと考えるべきではあるが、絶対に持っていると決めてかかってはいけない。」(シュレーゲル)

翻訳と理解(ノヴァーリス)

"Nur dann zeige ich, daß ich einen Schriftsteller verstanden habe, wenn ich in seinem Geiste handeln kann; wenn ich ihn, ohne seine Individualität zu schmälern, übersetzen und mannichfach verändern kann." (Novalis) "I show that I have unde…

「濡れそぼった息吹」(ジッド『地の糧』)

「この歳になって跣足で湿った大地に触れるのを楽しみにした。水溜りの小波に触れ、泥のひんやりしているか、生ぬるい中に足を突っ込むのもなかなか愉しいものだった。私はなぜこんなに水やことに濡れたものが好きなのか知っている。それは水が空気よりもい…

模倣の法則、恐怖の法則(ジッド『背徳者』)

"Lois de l’imitation ; je les appelle : lois de la peur. On a peur de se trouver seul : et l’on ne se trouve pas du tout. Cette agoraphobie morale m’est odieuse ; c’est la pire des lâchetés. Pourtant c’est toujours seul qu’on invente. Mais…

言葉は夢(サルトル『嘔吐』)

"My words are dreams, that is all." (Sartre. Nausea) 「わたしの言葉は夢なんだ。そういうことだよ。」(サルトル『嘔吐』)