うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。「They don't appreciate this!」

シリアルのコーナーに子供連れの母親がやってきた。ショッピングカートにはすでにシリアルの箱が入っているのに、子供はさらに3つ、4つ持ってくる。「一週間でそんな食べられるわけないでしょ。戻してきなさい」子供をせかして商品を棚に戻しにいく母親。するともうひとりの子供が棚の商品で遊びだす。カートに戻ってきた母親はそれを見て「そんなことしちゃだめでしょthey don't appreciate this!」とたしなめる。この手の光景は万国共通なのだろうか。そんなことを思いどこか優しい気持ちになった。昼下がりのトレーダーズジョーにて。

付記:たぶん日本だと、「店員さんに怒られるでしょ」というように、ネガティヴな言葉(怒る)を使うところだと思うが、ここでは、appreciate(感謝する、ありがたく思う)を否定表現として使っている。つまり、英語は、否定形ではあるが、「なにをすべきなのか」というポジティヴな方向性を示している。日本語は、「なにをすべきではないのか」という禁止の方向性で考えている。このあたりの行動規範の描き出し方の違いが面白いと個人的には思った。