うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

「濡れそぼった息吹」(ジッド『地の糧』)

「この歳になって跣足で湿った大地に触れるのを楽しみにした。水溜りの小波に触れ、泥のひんやりしているか、生ぬるい中に足を突っ込むのもなかなか愉しいものだった。私はなぜこんなに水やことに濡れたものが好きなのか知っている。それは水が空気よりもいっそう明瞭に、さまざまに変化する温度のそのつど異なる感覚をじかに我々に与えるからである。私は私の濡れそぼった息吹を愛した」(ジッド『地の糧』今日土海訳)