うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。悪戦苦闘しながら日本語の書きとりをする日系の子どもたち。

アメリカ観察記断章。英語がネイティヴの子供にとって、漢字ひらがなカタカナは図形にしか見えないのだろう。人が文字を書くのを見る機会が少ないうえ、印刷された文字を元にして学ぶからではないかと思うけれど、筆勢とか筆圧とか筆の流れという感覚がすっぽり抜け落ちている――英語はまったく変化のない線で描いてもそこそこさまになるが、これをひらがなでやると字が下手と受け取られるだろう。線の濃淡太細速遅を無視した漢字ひらがなカタカナは醜いだろう――。こういうわけで、日本語学習者はよく「ツ」と「シ」を混同したり、「はね」を一画として捉えてしまったりするのではなかろうか。子供たちが悪戦苦闘しながら日本語の書きとりをするのを見ていたら、これはもしかすると、日本語ネイティヴアラビア語だとかキリル語だとかを見た目以外の情報なしに書き写す行為に近いのかな、と思えてきた。