うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2015-01-01から1年間の記事一覧

言説「警察」の規則への従属(フーコー『言説の秩序』)

"Il se peut toujours qu'on dise le vrai dans l'espace d'une extériorité sauvage ; mais on n'est dans le vrai qu'en obéissant aux règles d'une «police» discursive qu'on doit réactiver en chacun de ses discours." (Foucault. L'Ordre du discou…

幸せの資格(ゾラ『ジェルミナール』)

"Jamais vous ne serez dignes du bonheur, tant que vous aurez quelque chose à vous, et que votre haine des bourgeois viendra uniquement de votre besoin enragé d’être des bourgeois à leur place." (Zola. Germinal.) 「自分だけのものを持ってい…

アメリカ観察記断章。アメリカの祝日の宗教性。

アメリカ観察記断章。アメリカでイースターは公式な「祝日」扱いではない。これはアメリカが基本的に政教分離を謳っていることを考えれば当然だ。しかしショッピングモールはほぼ祝日営業で、終日休みのところも多い。つまり、アメリカでは、依然として宗教…

アナキズム研究についてのコンフェレンスに参加して考えたこと5つ

UCI

Five observations on the anarchist studies conference I attended last month and why I felt I couldn't be part of it:1) It's curious that I saw only one or a few types of people there. I guess the conference welcomed a few hundreds of peopl…

アメリカ観察記断章。男女兼用トイレ。

アメリカ観察記断章。日本ではほとんどスタバのようなコーヒーショップに行ったことがないのでよく覚えていないのだけれど、アメリカの狭いスタバのトイレはだいたい男女兼用だ。そしてこれはスタバに限らず、かなり一般的な慣習であるように思われる。つま…

嘲笑される万人の幸福(ゾラ『居酒屋』)

"Gervaise se moquait du bonheur de tous." (Zola. L'Assommoir.) 「ジェルヴェーズは万人の幸福をあざわらった」(ゾラ『居酒屋』)

アメリカ観察記断章。アメリカの「百貨店」?

アメリカ観察記断章。アメリカに日本で言うところの「百貨店」があるのかと問われると、答えに窮する。ないわけではない。NordstromだとかMayc'sはたしかに「デパート」のようで、高級(志向)で年齢層が高めのメンズやレディースの洋服があり、化粧品があり…

進まない原稿、日々の怖ろしい空しさ(ゾラ『ウージェーヌ・ルーゴン閣下』)

"D’ailleurs, il laissa traîner sur son bureau le manuscrit commencé, bien qu’il n’y ajoutât pas vingt lignes par semaine. Chaque fois qu’on le questionnait sur ses occupations, il répondait en expliquant son idée tout au long, et en donnan…

書けていない発表原稿

UCI

It's embarrassing that a presentation proposal was accepted but no word is yet written and you have only a month to finish a draft.

アメリカ観察記断章。階級的で年齢的な飲み物としてのアルコール。

アメリカ観察記断章。ビールはきわめて階級的で年齢的な飲み物であるようだ。大学院生の集まりともなればビールが主流、ファカルティ主催のものならワインがメインになる。とはいえ、これは文化的なもので経済的なものではないように思う。実際、かなり安い…

アメリカ観察記断章。アメリカで売っているビール。

アメリカ観察記断章。アメリカで売っているビールといえばまず圧倒的に瓶である。それも日本のような大瓶ではなく、350mlほどの小瓶で、厚紙のパックに6本入ったものがもっともスタンダード。安いもので6ドル弱、高くても10ドル前後。そしてだいたいが地ビー…

発表原稿から発表要旨

UCI

I'm just curious to know whether you compose a conference presentation abstract and then begin to write a manuscript (after it's accepted) or first finish a paper and then write conference abstracts, as you find conference topics match the…

自分の翻訳と再会する

I finally opened a copy of the translation I did more than five years ago and never bothered to reread since it's published. To my great amazement I recognize every single sentence! Every page vividly reminds me of the unending pains I exp…

アメリカ観察記断章。アメリカのスーパーで買える肉。

アメリカ観察記断章。結構長い間擬似ベジタリアンな食生活を送っていたが、最近また肉を食べるようになった。アメリカのスーパーにおける肉のパッケージは日本のそれと大きく異なる。まず薄切り肉がないし、挽き肉はマージナルなものである。牛肉なら基本は…

知性と責任(ル・グウィン『さいはての島へ』)

"Having intelligence, we must not act in ignorance. Having choice, we must not act without responsibility." (Le Guin. The Farthest Shore.) 「わたしたちには知性があるのだから、無知に行動してはならない。わたしたちは選ぶことができるのだから、…

日本人であって自分のように英語をこなせるにんげん(小島信夫「アメリカン・スクール」)

「彼らがこうして辿りついたアメリカン・スクールは広大な敷地を持つ住宅地の中央に、南にガラス窓を大きくはって立っていた。敷地は畠をつぶしたのだ。アメリカ人にとっては贅沢なものとは云えないが、疎らに立ちならんだ住宅には、スタンドのついた寝室の…

「宿酔に相当した時期」(梶井基次郎「檸檬」)

「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。焦躁と言おうか、嫌悪と言おうか――酒を飲んだあとに宿酔があるように、酒を毎日飲んでいると宿酔に相当した時期がやって来る。それが来たのだ。」(梶井基次郎「檸檬」)

アメリカ観察記断章。正しくない英語。

アメリカ観察記断章。偏見かもしれないが、日本の英語教育の根底にあるのは大嘘ではないかと思う。「英語圏の人々は正しい英語を話している」という措定だ。カリフォルニアで英作文を教えて6年目になる身からすると、これはまったく的を射ていないと言わざる…

a handwritten letter from my father

A handwritten letter from my dad, as a follow-up of the Skype conversation on the New Year's Day.

アメリカ観察記断章。非情動労働的なアメリカの接客小売。

アメリカ観察記断章。アメリカの接客業や小売業を見ていると、日本のそれはむしろ情動労働affective laborに近いのではという気がしてくる。たとえばアメリカのスーパーのレジ打ちはかなり適当だ。妙にフレンドリーに絡んでくる人もいるが、おざなりな挨拶(…

怪物的な複数性、だがそれでいてカオスの反対(ニーチェ『この人を見よ』)

"...a monstrous multiplicity that is yet the opposite of chaos [eine ungeheure Vielheit, die trotzdem das Gegenstück des Chaos ist]......" (Nietzsche. Ecce Homo.) 「……怪物的な複数性、だがそれでいてカオスの反対であるもの」(ニーチェ『この人…

アメリカ観察記断章。カリフォルニア英語のストライクゾーン。

アメリカ観察記断章。カリフォルニアではさまざまな英語の発音が共存している。たとえ二世三世であれ、微妙に独特なアクセントが残っているのだ。この意味で、言語は、民族=出自のマーカーである。名前がそうであるように。これは日本的な視点から述べるな…

a very strange polyglot life

This is certainly a very strange life: I write in Japanese and English, read English and French texts, and speak English to American students on Tuesdays and Thursdays. I switch from one language to another seamlessly, and I often wonder i…

アメリカ観察記断章。アメリカの学生は日本の学生より勤勉か。

アメリカ観察記断章。アメリカの学生は日本の学生より勤勉か。自分が直に知っているアメリカの学生はかなり偏っているので、なんとも言い難い。英作文は理系の必修科目で(より正確には、人文学専攻でない学生なので、社会学専攻の学生などもここに含まれる…

義務または現実を越える力(ジャン=マリー・ギュイヨー『義務も制裁もなき道徳』)

"Nous ne désignons par devoir que le pouvoir dépassant la réalité, devenant par rapport à elle un idéal, devenant ce qu’il doit être, parce qu’il est ce qui peut être, parce qu’il est le germe de l’avenir débordant déjà le présent. Point d…

アメリカ観察記断章。フランス知識人の仏語なまりの英語。

アメリカ観察記断章。ジャック・ランシエールのレクチャーがあったので行ってきた。たぶん200人は入るはずの部屋が満杯で、立ち見さえ出ていたほど。実際、少し遅れて到着した自分は必然的に立ち見になった。うちの大学はさまざまなレクチャーシリーズが…

アメリカ観察記断章。本場の各国料理。

アメリカ観察記断章。アメリカでは日本でいう「エスニック料理」が総じて「本場の味」であると言えるのではないだろうか。もちろん大規模にフランチャイズ化されたメキシコ料理や中華料理はすでに「アメリカ料理」である。しかしローカルに根ざした小規模レ…

シルヴェールは、夜、あばら家の奥で、ルソーの本を何度も読み返した……(ゾラ『ルーゴン家の誕生』)

"Silvère, la nuit, au fond de son taudis, lisait et relisait un volume de Rousseau, qu’il avait découvert chez le fripier voisin, au milieu de vieilles serrures. Cette lecture le tenait éveillé jusqu’au matin. Dans le rêve cher aux malheur…

Vista del Campo

今年もどうぞよろしくお願いします。昨年に引き続き、初日の出を見るそれだけのために朝起きるほどのガッツがなかったので、初日の入りの写真。そして昨年はビーチに行くほどの気概があったけれども、今年はそのエネルギーすら絞り出すことができなかったの…

わたしたちほどひねくれた……(ベケット『勝負の終わり』)

"[sadly] No one that ever lived ever thought so crooked as we." (Beckett. Endgame.) 「[残念ながら]わたしたちほどひねくれた考え方をした者はいまだかつていなかった」(ベケット『勝負の終わり』)