うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

理解を埋め合わせる友情(ジャン=ミシェル・ネクトゥー「序論」『サン=サーンスとフォーレ――往復書簡集1862-1920』)

「おそらく、最も注目に価すると考えられることは、サン=サーンスがたとえフォーレをもはや理解しなくなっても、彼を大家と見なし続けたことであろう。フォーレは実際、サン=サーンスの作品の明快で公正な性向を、常に保っていたが、サン=サーンスは、かつての弟子の美学的進展を追いかけることはできなかった。彼はこのことを、実に率直に告白している。この時代のもっとも理知的な音楽家は、あきらめて、何もしなかったのである。フォーレへの友情があったればこそ、サン=サーンスは思い煩うことなく、この事実を冷静に受けとめられたのだ。ラヴェルドビュッシーに対する、強烈な激怒 . . . が知られているように、彼はむしろ、奇妙だと考える作品を排斥するタイプであった。」(ジャン=ミシェル・ネクトゥー「序論」『サン=サーンスフォーレ――往復書簡集1862-1920』27‐28頁)