うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2022-09-01から1日間の記事一覧

職人的な芸術家:ミシェル・アルシャンボー、笠羽映子訳『ブーレーズとの対話』(法政大学出版局、2022年)

ピエール・ブーレーズは怠惰を嫌い、創意を愛していた。複雑さを好み、複雑なものを理解し鑑賞するために努力を払わない者を軽蔑していた。 いや、もしかすると、軽蔑していたというよりも、そのような怠け者の心情にたいしてこれっぽっちも共感を抱けなかっ…

接触の官能:オクタヴィア・E・バトラー、藤井光訳『血を分けた子ども』(河出書房新社、2022年)

オクタヴィア・E・バトラーは異生物との肉体的な接触を描き出す。節足動物にも似た多数の足に、または、軟体動物の触手のようなものに、全身を抱擁され、包み込まれるという経験。それはひどく肉感的なものであると同時に、おぞましいものでもある。ゼロ距離…

フランス語のリスニング力の向上、または綴りを経由しない音から意味へのダイレクトな変換

ここ半年ぐらいできるだけ毎日フランス語を聞くようにしている。10分程度のニュースを大学まで歩きながらしっかりと聞くときもあれば、作業をしながら2時間も3時間もBGM代わりに流すだけのときもあった。フランス語のセンテンスを英語で解説する5分ぐらいの…