うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

20250223 「北欧の神秘ーーノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」@静岡市美術館を観る。

20250223「北欧の神秘ーーノルウェースウェーデンフィンランドの絵画」@静岡市美術館

ざっと見てきたというか、ざっと見る以外の見方が見つからなかったというか。ノルウェースウェーデンフィンランドという北欧三国の近代画家の作品からなる本展覧会のテーマはタイトルにあるとおり「神秘」ということなのだろうけれど、英語タイトルは The Magic Northであり、「北欧 North」がフレーズの核にある。素直に訳せば「神秘の北欧」とすべきところ。

とはいえ、あえて順序を入れ替えた意図はわからなくもない。たしかに本展覧会の展示作品の多くは、北欧神話に着想を得ていたり、神秘や魔法と想像力の上で地続きな自然を描き出したりしており、「北欧の神秘」がクローズアップされてはいるのだから。看板に偽りはない。

19世紀から20世紀にかけての北欧絵画は、フランスの写実主義印象主義に影響を受ける一方で、国内で編纂された神話や民話にインスパイアされていたらしい。ただし、それがこの展覧会が提示する視座にすぎないのか、王道的な解釈なのかは、門外漢にはさっぱりわからない(ただ、イプセンの『ペール・ギュント』やシベリウスの『カレリア組曲』が同時代的な創作にほかならないことはよくわかった)。

展示されている作品の作者たちはほとんど未見の画家たちであり(かろうじて知っていたのはムンクと、絵を描いていたとは知らなかった劇作家のストリンドベリーーこの展覧会の表記ではストリンドバリだけ)、展覧会としても、そのあたりをあえて差異化しようというつもりもないらしい。ノルウェースウェーデンフィンランドの画家たちをあえて区別するという態度は希薄であったように思う。

そこで見えてくるのは、三国に共通の要素、北欧の自然の色合いだ。緑の彩度がキツいというか、黄緑色が画布を鮮やかに彩っている。明るく妖しいピンク色の花が咲いている。水は青というよりは灰色がかった澄み方をしている。山には茶色の部分がある。思ったよりパステルカラーであり、絵本めいたニュアンスを感じるけれど、同時に、温帯の自然にはない澄んだ暗さも感じる。

それこそが北欧的な色彩感覚なのかもしれない。これらの絵画を見ていると、IKEAの色使いが北欧スタンダードなものなのだろうということが見えてくるし、北欧の自然の魔術的な表象は、トーベ・ヤンソンムーミンが特異な創造というよりは正統な発想であることも見えてくる。また、こうした北欧の文脈に置くことで、ムンクの北欧性がはっきりと浮かび上がってくる。

ただやはり、どこかとっかかりのない展覧会ではあった。面白い絵はあるし、挿絵的なものも多数あってバラエティにも富んでいる。けれども、少なくとも自分の場合、文脈がわからなすぎて、直感的な反応をどう扱ったらいいのか戸惑わされっぱなしであった。

基本的に撮影OKなのは、貸出元の意向だろうか。