2026-01-01から1ヶ月間の記事一覧
*クレジットは「原作:ベルトルト・ブレヒト」であり、「ブレヒト『ガリレオの生涯』」ではない。これは「多田演出によるブレヒト劇」ではなく、「ブレヒトの原作を換骨奪胎した多田の台本の、多田による演出」。 *AIが大々的に取り入れられており、冒頭か…
miru .安彦良和を漫画家としてきちんと認識したのは『王道の狗』(1998‐2000)をほぼリアルタイムで——しかし単行本で——読んだときだと思う。『アリオン』(1979‐84)や『クルドの星』(1986‐1987)は実家にあったので、中高生ぐらいで読んではいたけれど、安…
翻訳語考。なんとなく unlearn は近年の造語だと思っていたけれど――たぶんこの語を初めて知ったのはガヤトリ・スピヴァクの著作だし、2012年の京都賞の受賞理由でも unlearn が引き合いに出されているので、unlearn をスピヴァクと結びつけるのは筋が通って…
愛国心の強制に反対することは、愛国心に反対することではない。批判する人たちは、そこを混同している。 そして、リベラルとしては、その区別は譲れない一線です。(31頁) 民主主義の存在理由は何かというと、われわれが自分たちの愚行や失敗を教訓として…
モートン・フェルドマンの音楽はただようかすかな音で構成されており、協和音ではないが不協和音でもない音群が移ろい、色彩を淡く変化させながら、静かに、しかし、留まることも途切れることもなく重なり合っては離れ、陶酔的とも瞑想的とも言いがたいかた…
小林徳三郎の絵には不健康ではない翳りや憂いがある。湿り気を帯びた色彩の基調となるのは緑や茶であり、雰囲気は重い。しかし、線は丸みを帯びた曲線で、どこかユーモラス。大笑いではないし、微笑みでもない。あえて言えば、泣き笑いのよう。そこはかとな…
トゥガン・ソヒエフはきわめて充実した音楽を作り出す指揮者だ。奇をてらったところのない正攻法。解釈的な面白さではなく、音楽の熱量で勝負するタイプであり、オーケストラのポテンシャルを引き出すことに長けている。 アンダンテ・モデラートとスケルツォ…
渋谷の「ヒカリエ」8階のイベントホールで開催中の展覧会に終了前日となる土曜日に行ったけれど、予想どおりの混雑。ネットで事前にチケットを買っておいたけれど、それでも会場に入るまでに15分か20分ぐらいは待つ羽目になった。それだけの価値があるものだ…
「世界を信じて世界に媚びている夫の姿は、私には純粋に感じられる。」(村田沙耶香「素晴らしい食卓」『生命式』85頁) 「私たちはまだ危うくて、だから、強い言葉とか、世界を支配している大人の作った価値観に、簡単に突き飛ばされてしまう。そのたびに、…
「〔大衆啓発宣伝省の命により作成され、帝国音楽改訂部と帝国文芸部の監督による新版構想のもと、モーツァルト没後百五十年を記念して戦役の年一九四一年に刊行されたダ・ポンテ三部作の〕スコアをさらに精査するとわかってくることがいろいろとある。たと…
yada yada yada という言い回しが存在することを、積読状態の New Yorker の消化中に初めて知った*1。発音は「ヤーダヤーダヤーダ」で、and so on の意味になる。 OEDは初出を1967年前後とし、先行する類似例としてオスカー・ハマースタイン2世(『サウンド…
岡田暁生と片山杜秀の対談は、クラシックファンの思いこみを切り崩すように進んでいく。だから彼らの話は政治や宗教の問題を中心にして進んでいくし、西欧の帝国主義や日本近代の教養主義が問題化されていく。軍隊音楽が担った役割をクローズアップしていく…