うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。固有名詞の英語読み。

アメリカ観察記断章。アメリカで固有名詞は英語読みされる。単純明快で良いと思うこともあるけれど、日本語が原音尊重だから、カタカナ語でしか知らない音をどう発声したものかと戸惑うことがよくある。名前についていえば、二音節の名前は基本的に問題ないらしい。なぜかアメリカ人はToruを自分よりも上手に音にしてくれる。全体的に、英語は字面よりも音声を優先しているところがあると思う。言いやすい原音は保持され、言いづらいものは英語に置き換えられる。だから「醤油」は「soy sauce」であって「shoyu」ではなく、「日本酒」は「rice wine」ではなく「sake」で通用するのだろう。この点、「照り焼き」がそのまま「Teriyaki」なのはとても腑に落ちる。というのも、これはこのままで英語風に発音できるし、気持ちよく英語の音になるからだ。もちろんこれを英語にすると「テリィヤーキ」という感じになって、日本語話者には違和感があるだろう。「テ」ではなく「ヤ」にアクセントが置かれて長音になる。しかし、英語のノリに慣れ親しんでくると、この「テリィヤーキ」の語感がちょっと気持ちいいのだ。日本の固有名詞がどこまで保持され、どこで翻訳されているかをもっと詳細に観察してみるとおもしろいと思う。たとえば「牛丼」は「beef bowl」だし、「ラーメン」も「うどん」もまだ「noodle」のほうがとおりがいいと思う。