うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。アメリカの紙幣の白人性。

アメリカ観察記断章。アメリカの紙幣に登場するのは白人の男だけだ。これは言い換えると、現大統領まで、アメリカはずっと白人の男が大統領だったということである。オバマ大統領がなぜ革新的だったのか、なぜヒラリー・クリントンが革新的になるのかは、ドル札から透けて見える。この通貨における白人性は、今のアメリカ社会の人種的多様性であるとか、フェミニズムや性的マイノリティへのシステマティックな配慮からかけ離れていると思うし、この点についてのみ言えば、日本のほうがよほど革新的であるように感じられるが、これはおそらく、政治と文化の線引きが日米で異なっているのだというべきなのだろう。つまり、日本が政治的なところに文人を持ち出すのに対して(夏目漱石樋口一葉)、アメリカは政治と文化を峻別しているのだと思う。実際、アメリカにおける「政治家」は日本で言うところの「タレント」に務まるようなものではないように感じる。政治家はキャリアであり、メティエである。火曜日の民主党大統領候補によるディベートをネットでながら視聴しながらそんなことを思った。