非常勤講師観察記断章
非常勤講師観察記断章。手の遅さ、地力、センス。学生が自己採点するところを眺めていると、たしかに勉強のセンスとでもいいたくなるようなものの有無を強烈に感じる瞬間がある。たとえば採点にかかってしまうスピード、たとえば答案に書きこむ小計や合計の…
非常勤講師観察記断章。文学的英語教育。どうすれば英語教育は文学的になるのか。文学を教材に取り入れても、教育行為が文学的になるわけではない。重要なのは、内容ではなく、形式のほうではないか。何を教えるかではなく、どう教えるか。 文学的に教えるこ…
非常勤講師観察記断章。デジャビュ。ときどき強烈なデジャビュ感を覚えることがある。今日はそれが授業中に急にやってきた。特別な情景ではない。気だるげな午後の教室、湿った空気をかきまぜる空調のノイズ、机に座ったつまらなそうな学生たち、風にふわり…
非常勤講師観察記断章。SupervisorからÜbermensch。TOEIC関連のコマを8つも教えるのは死ぬほど退屈かと思いきや、意外なことに、決して悪くない。TOEICという縛りがあるからこそ、限られた時間でどこまでTOEICにとらわれない英語の話をできるのかという駆け…
非常勤講師観察記断章。初回の不器用な適当さ。一回目はどうやっても不器用な感じがする。自己紹介がとくにそうだ。気恥ずかしいのもあるし、何を聞かせればいいのかわからなくて、途方に暮れてしまう。その結果、おかしなふうに投げやりな名前だけの前置き…
非常勤講師観察記断章。ちょうどいいところ。静岡で働き始めてちょうど6ヶ月、後期も中盤に差しかかり、やっと「ちょうどいいところ」がかなりクリアに見えてきた。しかし、それと同時に、学生にとってのちょうどいいところと自分の思うそれのズレも、よくわ…
非常勤講師観察記断章。この日本語にたいする違和感をどうしたらいいのだろう。人称代名詞の使い方がいまだによくわからない。教室では「わたし」を使い、学生と個人的に話す機会があるときは「あなた」で通している。しかし一人称の「わたし」は正直まるで…
非常勤講師観察記断章。間違いを指摘されて謝ることの不可思議さ。今日、オーラルコミュニケーションのクラスで中間試験をやった。音読の試験で、ひとり3分にも満たない簡単なものだ。試験後にきわめてフランクな口調で「あの単語の発音が違っていたよ」「あ…