20191223 Day 1 カイロの朝を歩く。
車が猛スピードで駆け抜けていく大きな道路でも、街中の大きな通りでも、建物のあいだの小道でも、歩行者は車の前や後ろをすり抜けるようにやすやすと道路を横断していく。
信号などあってないようなものだ。信号がないわけではないし、歩行者用信号がないわけではない。しかし青だからといって安全なわけではないし、赤だから渡れないわけではない。交通法規的には無秩序だが、実践者のあいだには不思議なコンセンサスが存在している。
車間距離という概念が存在しないかのようだ。車はほとんと衝突寸前まで詰めてくるし、それは道端の路駐の車にも言える。そのあいだをすり抜けるのは、なかなかにアクロバティックな行為だが、数回繰り返せば慣れてくる。現地人の後をつけるようにして何回か横断していると、傍若無人に思われた運転手も、決してそうではなく、エジプトドライバーなりの共同ルールにのっとっているのだろうということが見えてくる。だから横断のときは下手にひるまないほうがいい。
ちょうど通勤時間のようで、大きなビルに向かって人々が吸い込まれるように列をなして歩いているなかを、逆方向に進んでいく。道端では野菜や洋服を売っている人がいる。すなぼこりが舞っている。
道は汚いには汚いが、汚いというより乱雑というべきだろうか。舗装が中途半端であったり、瓦礫がそこらじゅうに転がっていたり。きれいに片付けるという考えがあまりないのかもしれないし、すべてが依然として建築中であるようなところでは、長いあいだをかけて建築し続けるという考えにのっとって社会が営まれているところでは、途中経過を整えるということに、あまり重きを置いてないのかもしれない。
ビルのかたちはかなり多様で、びっくりするような立ち並び方をしているところがよくある。だいたい土気色というか砂地色な感じ。黄土色が基調にある。
人々の装いもそれに合わせてのことなのか、とくに男性は、黒や灰色っぽい色合いのものを着ている。
カイロ・マリオット・ホテルからエジプト考古学博物館まで歩くのは、距離的にはたいしたことはないけれど、ナイル川を越えないといけないし、河畔にある大きな道路を横切らないといけない。そこはなかなかハードルが高い。