アメリカ観察記断章。独立記念日が近い。登録しているショッピングサイトからセールの知らせが届く。祝日とセールが結びつくのは珍しいことではない。たとえばサンクス・ギビング・デイからクリスマスはアメリカの商戦において最重要期間となっている。しかしここで興味深いのは、アメリカでは国民の祝日がかなりのところまで資本主義経済のロジックに絡め取られている点だ。アメリカの祝日はきわめて国家的、軍事的=軍人的なものだけれど、その社会的な影響はつまるところ経済的なのか政治的なのかどちらなのだろうと思わず考えてしまう。国家の誕生を祝する日が商業的に利用されるというのは、特に驚くべきことではないはずだ。しかし日本の祝日との絡みで考えると、これは意外と不思議なことなのかもしれない。たとえば日本で建国記念日がセールのための口実を提供しえるだろうか? 憲法記念日や天皇誕生日付近はセール期間になるが、それは憲法記念日や天皇誕生日だからではなく、ゴールデンウィークだとかクリスマスないしは歳末であるからにすぎない。アメリカのほうが、国家的=歴史的なものと、経済的なものと、政治的なもののオーバーラップが見えやすい気がするし、この可視性の高さはコミットする敷居を下げることに一役買っているのではという気もする。