うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。男性性と軍隊的なものの近さ。

アメリカ観察記断章。アメリカにおいて「男性性」ないしは「マッチョさ」の極点には軍隊的なものがあるのではないかという気がしている。ふたつの例。ひとつめ。先学期、ある学生が何度か授業を欠席したのだけれど、学期末のレポートのなかで「軍隊の訓練に参加していたから」と書いていた。Wikipediaで検索してみたら確かにそういうカテゴリーの訓練があった(興味のある方はROTCで検索してください)。ふたつめ。雑貨屋で石けんを物色していたら、Duke Cannon Superior Grade Soapsというブランドの石けんがあった。箱の記述を読むと、「女物の小さい石けんではなく、海軍で使われているような男らしいものを目指すぜ」と書いてある。日本で男性性と軍隊的なものがどこまで近いのかよくわからないけれど、アメリカでは、軍隊的なものが社会のそばにあるのは間違いない。惰性でずっと行っている理容店のおじさんの息子は、アフガニスタンの戦争に行き、退役後はその恩恵でUCLAにほぼ無料で通い、最近卒業したそうだ。アメリカではいたるところで退役軍人veterans対象の割引がある。それほど軍隊が一般社会と近いところにあるからこそ、軍隊的な価値観が隠然たるかたちで一般社会に還流しているように感じる。