うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

信用できない(夏目漱石『こころ』)

「信用しないって、特にあなたを信用しないんじゃない。人間全体を信用しないんです......私は私自身さえ信用していないのです。つまり自分で自分が信用できないから、人も信用できないようになっているのです。自分を呪うより外に仕方がないのです」(夏目漱石『こころ』上十四)

「私は金に対して人類を疑ぐったけれども、愛に対しては、まだ人類を疑わなかったのです。だから他から見ると変なものでも、また自分で考えてみて、矛盾したものでも、私の胸のなかでは平気で両立していたのです。」(下十二)

「他に愛想を尽かした私は、自分にも愛想を尽かして動けなくなったのです。」(下五十二)

「私は寂寞でした。どこからも切り離されて世の中にたった一人住んでいるような気のした事もよくありました。」(下五十三)