うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

駿河の國浅間の御前にて(世阿弥『風姿花伝』)

「亡父にて候し者は、五十ニと申し五月十九日に死去せしが、その月の四日の日、駿河の國浅間の御前にて、法楽仕り、その日の猿楽、殊に花やかにて、見物の上下、一同に褒美せしなり。凡その頃、物数をば、はや今の初心にゆづりて、安き所を少な少なと、色ひてせしかども、花はいやましに見えし也。これまことに得たりし花なるがゆえに、能も枝葉も少なく老木になるまで、花は散らで残りしなり。これ、目のあたり、老骨に残りし花の證據なり。」(世阿弥風姿花伝』)