うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2013-05-17から1日間の記事一覧

近代社会における義理(対他的社会的要請)と人情(対自的心理的衝動)の分裂と矛盾。外と内、公と私の亀裂。(夏目漱石『道草』)

「貴夫こそ形式が御好きなんです。何事にも理窟が先に立つんだから」「理窟と形式とは違うさ」「貴夫のは同なじですよ」「じゃいって聞かせるがね、己は口にだけ論理を有っている男じゃない。口にある論理は己の手にも足にも、身体全体にもあるんだ」「そん…

信じられない、信じすぎている(夏目漱石『道草』)

「無信心な彼はどうしても、「神には能く解っている」という事が出来なかった。もしそういい得たならばどんなに仕合せだろうという気さえ起らなかった。彼の道徳は何時でも自己に始まった。そうして自己に終るぎりであった。」(夏目漱石『道草』五十七) 「…

信用できない(夏目漱石『こころ』)

「信用しないって、特にあなたを信用しないんじゃない。人間全体を信用しないんです......私は私自身さえ信用していないのです。つまり自分で自分が信用できないから、人も信用できないようになっているのです。自分を呪うより外に仕方がないのです」(夏目…