動物の目が語る偉大な言葉(マルティン・ブーバー『我と汝の問題』145頁)

「動物の目は偉大な言葉を語る言葉を持っている。動物は、その鳴き声や動作の助けをかりず、ただ目の力だけに頼るとき、自然から授かった自分の肉体の神秘や、生成の不安をもっともはっきりと示すものである。こうした神秘を知り、またわれわれにむかってその神秘の扉を開くことができるのは、動物だけである。なぜならば、神秘には自分を示す力がなく、だれか他のものがそれを開示してやらなければならないからである。この場合、この神秘を言いあらわす力を持ったものは、安全な植物界と冒険的な精神界の間におかれた、被造物の不安な動きである。これらは、いはば精神がはじめて自然にふれたときに自然が口ごもって発した言葉であり、またいわゆる「人間」という精神的存在が、自然を征服する以前の、自然のたどたどしい言葉なのである。この自然の口ごもりが語っていることは、他のいかなる言葉をもってしても繰り返しとなえることはできないであろう。」(マルティン・ブーバー『我と汝の問題』145頁)