うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

「敵」を名指す政治的な力の衰え(笠井潔、白井聡『日本劣化論』)

「笠井 左翼や反排外主義サイドの、「敵」を名指す政治的な力が衰えていますね。剥奪感や無力感に苛まされている若者に、「引きこもってないで出てこい、有意義なことをしろ」と上から目線で説教するのが戦後左翼の発想で、要するに学校の教師のようなものです。/引きこもっている人間にとって、そんな教師はうっとうしいだけじゃないですか。左翼がそういうスタンスしか取れないとしたら、彼らが排外主義の方向に引き寄せられていくのも無理はない。/左翼は伝統的にプロパガンダ(宣伝)とアジテーション(煽動)を分けてきました。しかし近年、排外主義批判プロパガンダはなされていても、攻撃目標を設定し具体的な行動を呼びかけるアジテーションが弱すぎました。プロパガンダの片翼飛行だと、「敵」も本質主義的にしか規定できないし、これでは大衆的な闘争になりません。」(笠井潔白井聡『日本劣化論』150‐51頁)