うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。過剰なまでの自己信頼というアメリカ的気質。

アメリカ観察記断章。アメリカ的気質があるとしたら、それは、過剰なまでの自己信頼ではないかという気がする。時々「なぜこんな自信満々なんだ」と不思議に思ったりするし、「こいつら実は自分のことがわかってないだけなんじゃないか」と蔑むような気持ちを抱きそうになったりする。しかしそうした見下しや驚きを蒸留したあと最終的に残るのは、自分の価値や有用性を信じきることのできる突き抜けた明るいポジティブさにたいする畏怖の念だ。もちろんアメリカ人がすべて陽性な人間だとは思わないし、根暗だったりシャイだったりする者は結構いる。しかし街を歩いている人々の顔を見ると、そこにはなにか強い光が宿っているように感じる。表情に力があり、輪郭や彫りの線が太い。日本における美醜が結局はヒエラルキー的なグラデーションであり、相対評価的でしかないとすると、アメリカのそれは複数的かつ多極的で、絶対評価的であるように思う。日本の「オンリーワン」の背後にはいつも「ナンバーワン」が見え隠れているとしたら、アメリカの「オンリーワン」は本当に独立独歩な、周りを気にしない、「わたしはわたし」であるように感じる。