うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

自由、友、母に帰る(グレーバー&ウェングロウ『すべてのはじまり』)

「わたしたちは本書をとおして、3つの原初的自由にたびたび言及してきた . . . 移動の自由、不服従の自由、社会関係を築いたり変えたりする自由である。またわたしたちは、英語の free がどのようして究極的にはドイツ語の「友」を意味する語に由来するのかということも述べた。というのも、奴隷は自由民とは違い、コミットメントも約束もすることができないがゆえに、友を持てないからである。約束をする自由は、わたしたちが言う第三の自由の基底にある最小限の要素に当たるが、それは、困難な状況から物理的に逃走することが第一の自由のもっとも基本的な要素であるのとまったくパラレルである。事実、あらゆる人間の言語のなかで最初期に記録された「自由」という語は、シュメール語の amar(r)-giで、その字義的な意味は「母に帰る」である。なぜなら、シュメールの王たちは定期的に徳政令を発し、商業にかかわらない負債をすべて帳消しに、負債ゆえに債権者の世帯で奉公することを余儀なくされていた人々を、親族のもとに帰宅することを許したからである。」(グレーバー&ウェングロウ『すべてのはじまり』426頁)