うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

官僚制を怪物にしてしまう力(グレーバー&ウェングロウ『すべてのはじまり』)

「「官僚制」という言葉自体が、機械的な愚鈍さを喚起する。しかし、非人称的なシステムがその起源において愚かであった、ないしは、必然的に愚かである、と信じる理由は何もない . .  . 田舎のコミュニティで暮らした経験があったり、大きな街の自治会や教区の集まりに参加したりしたことがある人なら誰でも知っているように、格差をどうにかするには、何時間もの、ともすると数日に及ぶ、長ったらしい話し合いが必要になるかもしれないが、ほとんどつねに、誰もが全く不公平だとは感じない解決策に至るものである。官僚的メカニズムを紛うことなき怪物にしてしまうのは、有無を言わさぬ権力がそこに加わった結果、現場の執行者をして「規則は規則だ、その話は聞きたくない」と言わしめる力である。」(グレーバー&ウェングロウ『すべてのはじまり』426頁)