うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

作者の権力、読者による権力奪取(笠井潔『動物化する世界の中で』)

「作者が自作の意味や読み方を、読者に権力的に強制する。あるいは「規律化」する。このような規律権力の行使に、民主主義の立場から抗議しても無力です。民主主義的主体それ自体が、規律権力によって生産されている以上。「読み抜き、読み破り、読み壊すという」権力闘争がテクストをめぐる現場で闘われなければならない。テクストは作者の所有物ではないのだと、どこかに仮構された「テクスト権利章典」のようなものに依存し、あれこれ主張してみても無力です。作者の権力には、読者による権力奪取が対応しなければならない。おそれながらと訴え出れば、読者の権利を保障してくれるような奉行所など、どこにもあるわけがない以上。」(笠井潔動物化する世界の中で』182頁)