うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2016-10-16から1日間の記事一覧

質量をもったオブジェ、非能率的な何物か(四方田犬彦『先生とわたし』)

「彼は書物を情報の集積物としてのみ遇することを軽蔑した。書物はまず質量をもったオブジェであり、整理カードや検索機に還元できない、非能率的な何物かでなければならなかった。ある主題の論文を執筆せんがために、体系的に書物のリストを制作し、それを…

人民の自由への根源的な希求(中沢新一『僕の叔父さん』)

「根源的な自由を求める心というものが、人間の本質をつくっている。だから人類はそれぞれの社会条件に合わせながら、さまざまな形態のアジールをつくり出すんだ。未開社会には未開社会の自由の空間というものがあったし、古代社会には古代社会の自由を表現…

作者の権力、読者による権力奪取(笠井潔『動物化する世界の中で』)

「作者が自作の意味や読み方を、読者に権力的に強制する。あるいは「規律化」する。このような規律権力の行使に、民主主義の立場から抗議しても無力です。民主主義的主体それ自体が、規律権力によって生産されている以上。「読み抜き、読み破り、読み壊すと…