うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。トイレの話。

アメリカ観察記断章。トイレの話。アメリカのトイレには必ず身体障碍者用の個室がある。建物に一つあるというレベルではなく、各階のトイレすべてがそういうふうにできているのだ。そのせいだろうか、アメリカのトイレはいびつな形をしていることが多い。たとえばうちの大学の図書館には8畳程度の小さなトイレがあるが、その面積の6割近くは個室に占領され、洗面台や小便器は開いたスペースに無理やり詰めこまれる形になっている。正直、アメリカのトイレの使い勝手はものすごく悪いし、効率もよくない。ペーパータオルにしても、まったく同じ物が横に二つ並び、一つがすこし下、おそらく車椅子の人でも楽に手が届く高さにある。個人的には車椅子の人が届く高さに一つ付ければ充分だと思うし、片方が壊れていたり紙が切れていたりすることも多いので、実際の有用性については微妙と言わざるをえないのがなんともアメリカ的ではあるが、施設の基本設備については本当に徹底している。ググって見たところ、これは1990年の連邦法、それを受けたカリフォルニアの州法でそう定められているようだ。だいたい大雑把で経済的合理性一辺倒に見えるアメリカ社会ではあるが、こうした配慮の細やかさは日本に大きく先んじているように思う。