うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

20130408 Norton Simon Museum

ノートンサイモン美術館。事業を興し富を築いた実業家のプライヴェート・コレクションを展示する美術館。駐車場無料、学生証提示で無料という太っ腹。西洋中世から古典、近代、現代とレパートリーは幅広い。中世宗教画のコレクションは微妙。古典も同様。いいものもあるにはあるが、たぶん大きな作品にぱっとしないものが多く、小さな作品に質の高いものが集まっているせいで、損をしている(でもまあ、失望させられるというより、20世紀も半ばでこういう品を集めることの難しさを思い、よく集めたものだ、とむしろ感心してしまう)。個人的には近現代がいちばん見ごたえがある。すべて一級品というわけではないが、いくつかの傑出した作品とともに、一流画家らの凡作的なものが見られるという点で、非常に面白い。しかしこの美術館の最大の見どころはブロンズ像ではないだろうか。前庭にはロダン、中庭には近現代(ヘンリー・ムーア)、館内にはドガの小さなブロンズ像が無数にある(これが非常に面白い)。地下には東南アジアの石造りの仏像が多数。芸術品というよりは工芸品というべき代物かもしれないし、アメリカでこういうものを一度に見せつけられると、「帝国主義的な芸術作品の収奪」と直感的に思ってしまうが、まあ、時代が時代だから、正当な手続きを経て購入されたものだとは思う。それでも、何か微妙なオリエンタリズム的居心地の悪さはある。ブロンズだが、抽象的なものにまじってたまにものすごく写実的なものもあるが、そちらはどうにも凡庸に映る。たぶんコレクターの趣味だったのだろうが、この美術館はとてもいい抽象絵画を展示している一方で、微妙につまらないリアリスティックな絵画も所蔵している。こういう不思議なバイアスがあるからこそ個人コレクションを見るのは楽しいのだ。

 

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建物はコの字型になっていて、空いた中央部分が庭園になっている。庭の中央には池。蓮だろうか、これは。

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盆栽のように横に広がった松。子どもたちが木に上って遊んでいた。「おいおい、それはちょっと」と思いながら通りすぎると、向かいから、美術館員がやってくる。彼女はすぐさまこの家族に注意をしたようで、後で振り返ってみると、家族連れは松から移動していた。

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「猫?」と思って表示をみたら、「チーター」だった。 

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中庭からみた建物。

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地階はアジア石像で占められており、ここには小さな庭園がある。奥に並んでいるのは仏像。なんかものすごく変。それっぽいといえばそれっぽいけれど、それっぽさの域を出ていない、とでも言えばいいか。