うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

話し方の歴史的変遷(宮本常一『民俗学の旅』)

「私が年寄りたちからいろいろの話を聞くようになったとき、明治維新以前のことを知っている人たちとそうでない人たちの間に話し方や物の見方などに大きな差のあることに気付いた。たとえば維新以前の人たちには申しあわせたように話しことばというよりも語り口調というようなものがあった。ことばに抑揚があり、リズムがあり、表現に一種の叙述があり物語的なものがあった。維新以後の人たちのことばは散文的であり説明的であり、概念的であった。そしてその傾向が時代が下がるにつれて次第に強くなる。知識を文字を通じて記憶していくようになると、説明的になり散文的になっていくもののようである。」(宮本常一民俗学の旅』、109)