うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。思いやりの欠如、思いやりの過剰。

アメリカ観察記断章。日本人は清潔好きだと思う。これはかなりのところまで温暖多湿な気候によるところが大きい。きれいにしていないとすぐに腐敗し悪臭がただよってしまうからそうせざるをえない。しかしこうした地理的条件とはほかに、文化的条件付けもあるのではないかと思う。たとえば学校での掃除の時間。これは日本独自のものだとよく聞く。真実のほどはどうあれ、義務教育期間を通しての刷り込みにより、公共空間をいたずらに汚さないようにしようという心性が日本ではデフォルトになっているのではないか。だがこれはアメリカではまったく当てはまらない。良くも悪くも利己的なのだ。誰かが掃除するからどうでもいいやという投げやりな姿勢。究極的なところで、他人を思いやる気持ち、掃除してくれる人の身になって想像するという能力が決定的に不足している。アメリカ的メンタリティのなかで嫌いなところの筆頭にくるのはこの思いやりの欠如だ。とはいえ、日本文化の嫌なところトップスリーに来るのはたぶんこの思いやりの過剰さではないかと思うのだけれど……